国際・政治

1月開催予定だったNPT再検討会議が延期 8月開催を目指しても紛糾は必至であるこれだけの理由=会川晴之

保有国と非保有国の溝は深い(ロシアの戦勝記念パレードで) Bloomberg
保有国と非保有国の溝は深い(ロシアの戦勝記念パレードで) Bloomberg

核拡散防止条約(NPT) 英国と中国で進む核軍拡 今夏に延期の会議は紛糾必至=会川晴之

 新型コロナウイルス・オミクロン株の爆発的流行を受け、1月4日から米ニューヨークの国連本部で開幕予定だった核拡散防止条約(NPT)再検討会議の延期が決まった。2020年5月に開催するはずだったが、新型コロナの影響で、これで4度目の延期となった。8月に開く案を軸に調整が続いている。

 NPTは核軍縮の実現、原子力の平和利用、核不拡散を3本柱に1970年に発効した。米英仏中露の5カ国だけに核兵器保有を認める一方、核軍縮に努めることを義務付けた。再検討会議は5年ごとに開かれ、約1カ月かけて課題を協議、合意文書の採択を目指す。ただ、核保有国と非保有国が激しく対立、2回に1回は文書採択が見送られるなど緊張に満ちた国際会議となっている。

 15年以来7年ぶりとなる今回の会議の焦点は二つ。一つは、東西冷戦崩壊後、一貫して進んでいた核軍縮が曲がり角を迎え、再び核軍拡の動きが始まっていることへの対処策。二つ目は、21年1月に発効した核兵器禁止条約の扱いだ。

 米科学者連盟(FAS)によると、世界の核兵器数は冷戦中の86年の約…

残り438文字(全文938文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事