投資・運用 お金の王道
Q13 子どもに「お金」の大切さを伝えるには? 大人こそがリテラシーを身に付ける=愛宕伸康
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金融教育とは、「お金や金融のさまざまな働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育である」(金融広報中央委員会)。言わずもがな、重要なのは最初のくだり「お金や金融のさまざまな働きを理解し」の部分だ。
「お金」には伝統的に「交換」「価値尺度」「価値保蔵」の三つの機能があるとされる。1976年ごろ、「100円で〇〇ポテトチップスは買えますが、〇〇ポテトチップスで100円は買えません、あしからず」というテレビコマーシャルがはやった。この3機能に照らせば、ポテトチップスにはそうした機能が備わっていないから、というのが自然な解釈となろう。ただ、考えさせられる点もある。
まず、「価値尺度」という機能。金融庁の「金融リテラシー・マップ」によると、小学生の「最低限身に付けるべき金融リテラシー」として、「働くことを通してお金を得ることおよび将来を考え金銭を計画的に使うことの大切さを理解し、貯蓄する態度を身に付ける」とある。確かに労働の対価として賃金という「お金」を得るのだから、「お金」は大切だと説くのは分かる。ただ、同時に「お金」という価値尺度だけで労働の価値は決まらない、ということを認識させることも重要だ。使命感とか憧れといった要素も労働の価値を大きく左右する。
「価値創造」の機能も
また、「お金」には価値を保蔵するだけでなく、新たな価値を創造する機能もある。それが「金融」だ。将来の夢や目的のためにためている「お金」を、資金が不足している企業や個人に融通すれば、新たな投資や消費が生まれ、元の「お金」には利息が付く。こうした金融機能を有効に活用すれば、将来の夢や目的により近付くことができるだけでなく、より豊かな生活やよりよい社会づくりに貢献することもできる。
そのため…
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週刊エコノミスト
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