経済・企業深層真相

最後の砦に託した再建 道は険しい東電の原発

 東京電力ホールディングスは柏崎刈羽原発(新潟県)で相次いで発覚したテロ対策の不備の問題を受け、稲垣武之常務を原子力・立地本部長(柏崎刈羽原発所長も兼務)に起用した。稲垣氏は福島第1原子力発電所事故の収束作業を指揮した故・吉田昌郎氏の側近として知られ、いわば原子力部門の「最後の砦(とりで)」だ。小早川智明社長=写真=は稲垣氏に原子力の再建を託したが、険しい道のりは増している。

 相次ぐ不祥事の影響は甚大で、7号機の再稼働は早くても今年10月に後退。稼働できても安全対策費として2030年度までに追加で4100億円を投じる必要がある。以前と比べて収支改善効果は1基当たり500億円に半減した。22年3月期連結決算は、最終(当期)損益を前回予想の670億円の黒字から160億円の赤字に下方修正。一方で、事故の賠償や廃炉などに必要な21・5兆円の事故処理費が重くのしかかる。

残り163文字(全文548文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月4日号

徹底攻略 新NISA22 使わないともったいない 口座開設から運用まで解説 ■加藤 結花/白鳥 達哉/深野 康彦28 プロのNISA 指南1 シニア層なら「家計の一助」に 生活用品優待銘柄を狙え  ■大山 弘子30 プロのNISA 指南2 インデックス投信でコツコツ取り崩さず積み立て ■篠田 尚子3 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事