最後の砦に託した再建 道は険しい東電の原発
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東京電力ホールディングスは柏崎刈羽原発(新潟県)で相次いで発覚したテロ対策の不備の問題を受け、稲垣武之常務を原子力・立地本部長(柏崎刈羽原発所長も兼務)に起用した。稲垣氏は福島第1原子力発電所事故の収束作業を指揮した故・吉田昌郎氏の側近として知られ、いわば原子力部門の「最後の砦(とりで)」だ。小早川智明社長=写真=は稲垣氏に原子力の再建を託したが、険しい道のりは増している。
相次ぐ不祥事の影響は甚大で、7号機の再稼働は早くても今年10月に後退。稼働できても安全対策費として2030年度までに追加で4100億円を投じる必要がある。以前と比べて収支改善効果は1基当たり500億円に半減した。22年3月期連結決算は、最終(当期)損益を前回予想の670億円の黒字から160億円の赤字に下方修正。一方で、事故の賠償や廃炉などに必要な21・5兆円の事故処理費が重くのしかかる。
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週刊エコノミスト
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