経済・企業 とことん学ぶインフレ
新興国が迫られる金融引き締め 物価高と金利高の共存で起きることは=西濱徹
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今知りたい5 新興国不安 資源高襲来 高金利で景気減速=西濵徹
このところの世界経済の回復を追い風とする国際原油価格の上昇は、全世界的にインフレ圧力を招いている。
なかでもエネルギー資源を輸入に依存する新興国では、物価上昇に加え、輸入の押し上げを通じて対外収支が悪化するなど、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)の脆弱(ぜいじゃく)さが増している。
加えて新型コロナ禍を経た物流の混乱などを理由に食料品の物価上昇圧力が強まる動きもみられるなか、物価指数に占める食料品やエネルギーなど生活必需品の割合が相対的に高い新興国は、インフレ圧力にさらされやすい。
足元で最大のリスクは、国際金融市場において米連邦準備制度理事会(FRB)の「タカ派」傾斜に伴うドル高だ。これは世界的な「カネ余り」を追い風にした新興国への資金流入の動きに影響を与え得る。経常赤字を抱えるなど資本が過小状態の新興国にとって、資金流出は経済活動の足かせになる上、自国通貨安は輸入物価を通じてインフレ圧力を増幅させる。よって、すでに原油高によるインフレに見舞われている新興国では、自国通貨安によるさらなるインフレ懸念を払拭(ふっしょく)させるべく金融引き締めを迫られている。
先行きはオミクロン株の行方に留意する必要があるものの、世界経済の回復が続けば原油など国際商品市況は高止まりが見込まれる。さらに、新興国での経済活動の正常化は労…
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週刊エコノミスト
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