脱炭素の推進でインフレが長期化するのはなぜか=大嶋秀雄
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今知りたい2 グリーン・インフレ 脱炭素が招く資源・製品の高騰=大嶋秀雄
気候変動対策に伴う物価上昇を示す「グリーン・インフレーション」あるいは「グリーンフレーション」という、新しい概念が注目されている。
その発生要因は主に三つある。一つ目は、脱炭素対応を急激に進めることにより生じる需給逼迫(ひっぱく)である。温室効果ガス(GHG)排出の多い製品の生産を抑制する一方、不安定な脱炭素技術への依存度を高めることで供給不足が生じ、資源や製品の価格が上昇するケースである。
二つ目は、脱炭素に向けた技術開発や設備投資にかかるコストの価格転嫁である。脱炭素のためには膨大な投資が必要とされる。それらは必ずしも生産能力や売り上げの向上に寄与しないため、企業には価格転嫁の誘因が働く。
そして、三つ目は、炭素価格(カーボンプライシング)の導入・引き上げである。炭素価格は、GHG排出に応じた課税などで排出コストを「見える化」して、企業や消費者をGHG排出の少ない生産方法・製品に誘導する仕組みである。脱炭素のための重要なツールながら、賦課される排出コストの分、価格は押し上げられる。
主要国で最大2%ポイント上昇
想定される炭素価格は、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)が示しており(図1)、NGFSによると、2050年脱炭素に向けた炭素価格の引き上げを主因に、…
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週刊エコノミスト
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