経済・企業

株主優待を廃止すれば還元増が期待できる「配当力総合スコア」上位160銘柄=大川智宏

株主優待 「廃止」で株主還元増に期待 「配当力スコア」で銘柄選別=大川智宏

 今回の東証再編では、プライム市場入りした銘柄の評価が上がることや、逆に漏れた銘柄の需給の悪化などの側面が注目されることが多い。しかし、東証再編はそれと同時に、今までと異なる「間接的な影響」を生み出すかもしれない。それが、株主優待の廃止だ。

 東証市場区分の再編に伴い、新たな上場基準の一つとして、株主数に関する項目が緩和された。例えば、東証1部の必要株主数は2200人だったが、プライム市場では800人に減少する。上場企業にとっては、多くの個人投資家を取り込み、株主数を増やしたり株主の多様化を図ったりするメリットは薄まることになる。

 日本株市場では、伝統的に株主優待が個人投資家向けの配当政策として浸透してきた。しかし、海外投資家にはひどく評判が悪い。理由は単純で、株主優待は企業側に多額のコストがかかるからだ。自社のロゴ入りの商品券を作成するにも印刷代がかかり、お米を発送するにも送料がかかる。

 それも、何千人、何万人という株主に対して、年に数回対応しなければならず、関係する人件費なども含めれば、そのコスト負担は低くはない。加えて、商品券や関連施設の利用券などは、業績を注視して投資する海外投資家には何の意味もなく、商品券や利用券を売却して自らの投資収益に計上することもできない。

 また、株主優待の廃止は、株主還元の強化という観点でポジティブだ。加えて、昨今のコーポレートガバナンス(企業統治)の強化の観点から、これらの海外投資家の声を企業側が無視できなくなっており、株主還元の強化が株価に強く反映されるようになった。

 実際、エービーシー・マートは1月12日、株主優待を廃止し、優待の廃止分を配当へ振り向けると発表すると、市場はこれを好感し、翌13日の同社株は2・2%上昇した。

トップは「JT」

 それでは、1月24日時点…

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