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最新!会計ソフト勢力図、クラウド化の波は確実に=工藤雄一
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税理士 会計ソフト勢力図 混戦状態の小・零細企業 クラウド化の波は確実に=工藤雄一
数多く存在する業務支援のソフトウエアの中でも代表的なのが「会計ソフト」だ。制度としてルール化されている会計業務はソフトウエアとの相性がよく、正確な会計処理、税務申告を行うために用いられている。
会計ソフトの使用状況については、十分な統計調査が行われていないため、実態を正しく把握することは難しく、メーカー公表数などが独り歩きしていることがある。会計ソフトの導入に当たってはメーカーから直接購入するのではなく、会計事務所を経由して顧客に提供される場合も多い。他にも、販売代理店、家電量販店、インターネットなど購入経路も複数あり、メーカーが公表する販売累計数や登録ユーザー数だけを見ていても、現在の正確なシェアは分かりづらい。
主戦場は中小企業
筆者は、メーカーが公表する数字だけでなく独自取材などを基に、会計ソフトの勢力図をまとめた。ただし、一口に会計ソフトといっても、利用する顧客の事業規模などでソフトに求める機能などが異なるため、企業の規模に着目した。
26〜27ページの図では、大企業から中企業、小企業・零細企業、個人事業と単純化した。ただし、日本の法人の99%は中小企業になり、会計ソフトの「主戦場」は中小企業以下の企業となるため、中小、零細企業に焦点を当てている。
中小企業の中でも、売り上げ規模が5億円、あるいは従業員数30人程度を境に会計ソフトの要求レベルが変化する。つまり、中企業は小規模・零細企業と比べて要求水準が上がる。図の中企業はこのあたりの事業規模の法人をイメージしている。取引量も増える中企業では経理担当者が必要になってくる。支障なく業務運用ができることを重視し、サポート体制なども考慮し、営業担当者から購入することになる。
他方、小企業・零細企業では、経営者の配偶者など親族が経理を担当している場合が多い。そのため、会計ソフトの導入の判断については感覚的だったり、顧問である会計事務所の提案に応じて決めているケースが多いようだ。つまり、家族的な経営が主体の小企業・零細企業と、ある程度業務量が増え、経理担当者がいるような中企業あたりが、導入する会計ソフトの製品価格、サポート体制、購入決定者などに違いが出る分岐点といえる。
根強い記帳代行
数十の会計ソフトが乱立し、最も混沌(こんとん)としているのが小企業・零細企業のマーケットだ。シェアトップは弥生の弥生会計。2位は、会計事務所からの紹介で導入するTKCのFXシリーズ。3位以下はソリマチの会計王や、会計事務所の紹介で使い始めるMJS、JDL、EPSON、ICSなどが提供する顧問先向け会計ソフトが一定のシェアを確保している。弥生会計と会計王以外は、会計事務所から導入されるため、一般的な知名度はやや低い傾向にあるが導入数は多いとみられる。
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