経済・企業

今年は電帳法改正、来年はインボイススタート デジタル化対応できない税理士の末路は?=宮口 貴志

税理士 電子帳簿とインボイスがデジタル化の踏み絵に=宮口貴志

 コロナ禍では日本のデジタル化対応の遅れが浮き彫りになった。現在、政府は「デジタル敗者」からの脱却に向け、中長期的な施策を進めているが、影響は税理士をも直撃する。

 今年1月1日施行の改正電子帳簿保存法(電帳法)をはじめ、2023年10月1日からスタートする消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)は、デジタル化対応の「踏み絵」になる可能性が高く、税理士淘汰(とうた)の呼び水になるかもしれない。今後10年で、税理士業界は大きく変わる可能性がある。

中小にも電子化需要

 21年9月に設置されたデジタル庁主導の下、行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進められている。国税庁も例外ではなく、これまでの将来像を改定し、昨年には「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション─税務行政の将来像2・0─」を公表している。

 内容は「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」を2本柱に「あらゆる税務手続きが税務署に行かずにできる社会」に向けた構想を示すとともに、人工知能(AI)を活用した税務調査、課税・徴収におけるデータ分析の活用などの取り組みをさらに進めていくとしている。

 こうした将来像を実現するため、国税庁は既に基幹システムを刷新。次世代システムを開発し、データ分析などを行うことのできる人材育成に乗り出している。

 国税庁が進めるデジタル化対応のベースになるのが、改正電帳法だ。同法は、納税者の国税関係帳簿書類に関わる保存の軽減を図るために、電磁的記録による保存を容認するものだ。

 同法では、これまでは紙で保存しなければならなかった帳簿書類などを、一定条件を満たすことで、電子的に作成した帳簿・書類及びスキャン文書などの電子データによる保存を認める。従来は、税務署長への事前届け出制など承認のハードルが高かったことから、22年1月施行の改正電帳法では、そのハードルが下げられた。とはいうものの、中小企業が電帳法に対応していくには、専門家の指導などが必要で、そのアドバイザーとして関与する税理士に期待がかかっている。

 現状、中小企業の多くが紙で帳簿・書類を保存しているものの、帳簿作成では会計ソフトを活用し、請求書などのやり取りに関しては、チャットツールやメールなどで行っているケースが増えている。

 政府税制調査会の資料によると、現行の電子帳簿保存制度は大企業(原則として資本金1億円以上)の7割が利用しているが、中小企業は1割に満たない(表1)。一方、会計ソフトなどを利用した電子帳簿の作成については、売り上げが1000万円以下の事業者でも約5割が実施している(表2)。データから考えられるのは、個人事業者も含む中小企業でも改正電帳法利用の潜在需要があることだ。

電子帳簿に2種類

 改正電帳法利用において、もう一つ、見逃せない点がある。それが、電子帳簿保存制度のハードルを下げた分、「電子帳簿の質」を二つに区分したことだ(表3)。

 国税庁としては、税務行政のデジタル化を進めるためには、納税者に電子データでの帳簿作成・保…

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週刊エコノミスト

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