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会計事務所のIT化、躍進するオンライン完結型サービス=編集部
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税理士 躍進するオンライン完結型 セカンドオピニオンも加速=編集部
コロナ禍でニーズが高まったオンライン面談の導入など、会計事務所もIT化が進んでいる。船井総合研究所が2020年10月に実施した顧問税理士に関する調査(回答数約40)によると、会計事務所のICT(情報通信技術)活用対応の実施率は、チャットでの連絡・相談53%、オンライン面談31%、クラウド会計の導入支援サービス33%だった。同研究所コンサルタントの坂田知加氏は「調査後もIT活用は増加しており、オンライン面談は35~40%近くまで利用率が上がってきているのではないか」と実感を語る。
日本税理士会連合会の税理士法の改正要望の中でも、「税理士の業務のICT化推進の明確化」が掲げられている。これは、経済のデジタル化などの環境変化に伴い、納税者の利便性の向上や社会全体の効率化などに寄与するため、税理士業務もICT化を推進していくべきだとするもので、業界としても課題意識を共有している。
クラウド活用
アネーラ税理士法人が21年12月に始めた新サービス「新時代会計」は、まさにコロナ禍で高まった顧客のオンライン対応へのニーズを背景に誕生した。新時代会計は、チャットやクラウドストレージなどを使い、税理士との相談、資料のやり取りなどを全てオンラインで実施。一度も実際に会わずに完結するというサービスだ。
同法人は、九州発祥の会計事務所グループで、福岡・東京・横浜・佐賀に事務所を構え、九州屈指の有資格者数(税理士24人、公認会計士8人、社会保険労務士5人)を誇る。法人向けの税務顧問、M&A(企業の合併・買収)、事業承継など幅広いサービスを手がけ、九州では地元の老舗、大手企業、東京・横浜では新興企業を中心に依頼を受けている。
藤本周二代表によると、以前はほとんどが対面だったが、コロナ禍でオンライン面談が一気に定着したという。また、背景には、税理士とリアルに面談する時間を取るのが難しいという多忙な若手の経営者らの声もあった。
新時代会計は、高度な税務サービスは不要で、オンライン志向の強い創業期の企業をメインターゲットとして想定。実際に起業を検討している東京、神奈川、福岡の個人事業主や起業して間もない企業などから申し込みがあった。サービス開始から1カ月あまりで契約数は、すでに2桁を超え好調だという。分かりやすいと好評の年間30万円と…
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