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《緊急特集》「SWIFT排除」でロシアに大打撃、影響緩和する中国の役割=菅野泰夫

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対ロシア制裁 SWIFT排除で輸出に大打撃 制裁の影響緩和に中国の影

 ロシアは2月21日、親ロシア派武装勢力占領地域「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」の独立を承認し、両共和国内にロシア軍の進軍を指示した。

 これを受け西側諸国は一斉に制裁措置を発表したが、当初の制裁措置は、対象がかなり限定された軽度なもので、独立承認に関わった議員や、プーチン大統領に近い個人や団体が西側諸国に保有する資産の凍結、渡航制限に加え、ロシア国債の国内発行や流通の禁止などの制裁を加えた。

 そんな中でも驚きを誘ったのは、ドイツが独露をつなぐ天然ガスの輸送パイプライン、ノルド・ストリーム2について、「純粋に商業上の問題」としていた当初のスタンスを撤廃し、その開通承認を停止したことである。

 3日後の24日、ロシアはウクライナへの全面的な侵攻を開始。これを受けて米国、英国、欧州連合(EU)、日本は制裁パッケージの第2弾を発表した。米国はロシア最大手のズベルバンクが米国の金融システムにアクセスする能力を制限したほか、2位のVTB銀行など新たに4行に対し、米国内の資産凍結や、米国人とのカネ・モノ・サービスの取引を一切禁止した。ハイテク製品の対ロシア輸出にも制限をかけた。

 他方、EUは域内証券取引所でのロシア国有企業の上場禁止や、ロシア国籍保有者からの域内銀行への大口預金の受け入れを禁止。また航空機やその部品、石油精製所に必要な機器の販売も禁止した。さらにプーチン大統領やラブロフ外相のEU内の資産も凍結する方針だ。

 第1弾が甘すぎると国内で批判を集めた英国は、VTBを含めたロシア主要行の資産凍結や、ロシア市民の英国銀行への預金高を制限、ロシア企業の英国金融市場からの資金調達も禁止した。さらにハイテク製品などの対ロシア輸出の制限や、ロシアの航空大手アエロフロートに対し英国領空への飛行を禁じた。

 また米欧は2月26日、ロシアの一部銀行に対し、国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除することで合意した。これ…

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週刊エコノミスト

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