利上げがクレジット市場に与える影響とは?=中空麻奈
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社債 7月以降に上乗せ幅拡大 発行増で需給悪化も顕著=中空麻奈
2022年は大転換点である。加速するインフレに突き動かされ、米連邦準備制度理事会(FRB)は今年中に4回程度の利上げを実施し、バランスシート縮小(量的引き締め、QT)を最速で6月に始める可能性が高い。またそれに触発され、欧州中央銀行(ECB)も年内利上げを視野に入れた。これらは社債などのクレジット(信用)市場へどのような影響をもたらすのか。
足元では、米国のクレジット市場はワイド化(国債利回りに対する上乗せ幅の拡大)したものの、20年初頭の新型コロナウイルス感染拡大局面と比較すれば、影響はまだ軽微だ。なぜなのか。
クレジット市場は過去の金利上昇局面を見ると、ほとんどのケースでむしろタイト化(上乗せ幅の縮小)している。金利上昇局面は景気改善により株価が上昇していることが多く、そのためスプレッド(上乗せ金利)はタイト化してきた。ただし、17年から18年にかけての金利上昇局面では、スプレッドがワイド化したことが分かっている。QTがワイド化要因であったと考えられる。
ここから言えるのは、金利上昇そのものはクレジット市場にさほどの影響を与えないが、QTのタイミングでスプレッドがワイド化しうる、ということだ。今回の場合はQTが見込まれる今年7月以降にワイド化がありうるということだ(QTは前倒しの可能性もある)。
トリプルB債は対象外
クレジットスプレッド(信用格差)を決める大きな要因にファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)や需給がある。米国のファンダメンタルズについては、インフレによって多少悪化を始めたものの、まだ良い状態を保っているが、需給については悪化が顕著だ。
需要については、金利上昇を受けてクレジット市場の見通しに対する警戒感が出始めていることから減少している。一方、供給については、金利先高観に加え、M&A(企業の合併・買収)ファイナンスや、とりわけLBO(レバレッジド・バイアウト、相手先の資産を担保に資金を調達する買収)ファイナンスが増えることによる発行増が見込まれることで、大きく崩れる公算が大きい。
需給要…
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週刊エコノミスト
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