INTERVIEW 宮崎成人 「インフレは必ず制御可能 債務の積み上がりに要警戒」
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利上げは米国や世界経済にどのような影響を及ぼすのか。国際金融の現場経験が豊富な宮崎成人・元財務省副財務官に聞いた。
(聞き手=桐山友一・編集部)
── 今回の米国でのインフレの特徴をどう捉えるか。
■要因は非常に複合的だ。新型コロナウイルスの感染拡大による供給面の制約の要素に加え、抑制されていた消費が一気に回復した。財政の大盤振る舞いも後押しし、むしろインフレが起きてみれば当然の帰結といえる。これほど複合的に要因が絡まり合っていると、インフレ抑制のための対策は難しく、時間もけっこうかかるのではないか。
── 今回のインフレを過去と比較すると、どの局面が参考になるか。
■供給制約という意味では、1970年代の2回のオイルショック後の状況が、似ているといえば似ている。ただ、当時との違いもかなりある。何よりも当時は景気が低迷しており、米国はスタグフレーション(インフレと景気後退の同時進行)に陥った。ニクソン、カーター両政権とも財政政策によって景気を刺激していたが、オイルショックで力尽きた。景気の基盤は今の方がずっと強い。
── 米連邦準備制度理事会(FRB)の信認は?
■それももう一つの違いだ。インフレと闘った当時のボルカー議長(在任79〜87年)の就任前は、FRBは政治に対して弱い立場だった。現在のFRBは高い信認を維持している。パウエル議長が利上げに強硬な発言をしているのは、信認が高いうちに世の中にFRBがインフレと闘うという意識を浸透させれば、さほど金利を上げなくともインフレを抑えられると考…
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週刊エコノミスト
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