経済・企業

通貨下落続くトルコ・ブラジル、ASEANやインドは堅調維持=高橋尚太郎

エルドアン大統領の影響でトルコは通貨の下落が止まらない Bloomberg
エルドアン大統領の影響でトルコは通貨の下落が止まらない Bloomberg

新興国 通貨下落続くトルコ、ブラジル ASEAN、インドは堅調維持=高橋尚太郎

 2022年の新興国は、先進国で広がる利上げの動きを受けて、通貨下落圧力にさらされるだろう。通貨が大幅に下落した国では、外貨建て債務の負担増加や輸入物価上昇などを通じて、経済に混乱をきたすこととなる。

 すでに、各国のファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を見定める動きは始まっている。トルコやブラジルの通貨は、新型コロナウイルス感染拡大前の19年12月との比較で、それぞれ22年1月末時点で米ドルに対しマイナス56%、マイナス24%と大幅に下落した。いずれも、経常収支の赤字体質、インフレの高進が資金流出を招き、特に外貨準備高の少ないトルコは通貨下落圧力に抗しがたい状況となった(図)。

 22年も、トルコはエルドアン大統領の影響で金融政策の混迷が続き、ブラジルは10月の大統領選前後の経済政策により財政悪化の懸念がある。両国の通貨動向とその経済への影響からは引き続き目が離せない。

 一方、アジア新興国の通貨は全体として底堅い動きが続いている。タイの通貨バーツこそコロナ前から10%程度減価しているが、その他のASEAN(東南アジア諸国連合)の主要国インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナムや、インドの通貨はおおむね数%程度の下落にとどまっている。

 背景として、ASEANの外貨を稼ぐ力が改めて評価されていることが挙げられる。マレーシア、ベトナム、タイは、財(モノ)の輸出が、供給制約の和らいだ21年12月にコロナ前比(年平均)でプラス20%程度と再び増勢を強めており、いずれも22年以降は経常黒字が続く見通しとなって…

残り751文字(全文1451文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月9日号

EV失速の真相16 EV販売は企業ごとに明暗 利益を出せるのは3社程度■野辺継男20 高成長テスラに変調 HV好調のトヨタ株 5年ぶり時価総額逆転が視野に■遠藤功治22 最高益の真実 トヨタ、長期的に避けられない構造転換■中西孝樹25 中国市場 航続距離、コスト、充電性能 止まらない中国車の進化■湯 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事