ドル・円 実質金利差拡大で円安へ 秋に1ドル=120円も=尾河眞樹
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ドル・円 実質金利差拡大で円安へ 秋に1ドル=120円も=尾河眞樹
年明け以降、金融市場のボラティリティー(変動率)に上昇傾向がみられる。その背景として、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に対する不透明感が挙げられよう。今年3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定される見通しだが、今後の金融政策の方向性が見えるまでは、ボラティリティーが高まる局面を想定するべきだろう。
昨年末に1・4%付近でとどまっていた米10年国債利回りは、2月10日に2・0%を超えた。ウクライナ情勢の緊迫化も加わって米株価は下落し、市場の不安心理を示すVIX指数は、2月中旬までですでに2回も「総悲観」と言われる30を上回った。
金融引き締め懸念によるリスクオフは、2013年5月の「バーナンキショック」をほうふつとさせる。当時のバーナンキFRB議長が突然テーパリング(資産買い入れ縮小)を示唆したことで市場が動揺し、米株価は急落、米長期金利は急上昇した。この時、ドル・円相場はリスク回避の円高が進行し、2週間で10円ほどドル・円が急落(円高)したが、その後は米長期金利の上昇に沿う形で反転上昇した。
ただ、年初からの金融市場の動揺は、これほど大きなショックではなかったためか、ドル・円の下落は年初の1ドル=116円台から3円程度にとどまり、その後は反転上昇している。
中長期的には日米の実質金利差とドル・円相場の相関性は極めて高く、米実質金利の歴史的な低水準からの上昇と、日米実質金利差のマイナス幅の縮小がドル・円相場をじわりと押し上げているようだ。名目金利から期待インフレ率を引いた米実質金利は、昨年11月にマイナス1・3%と史上最低水準に低下したが、その後はFRBの利上げが織り込まれていくにつれ、マイナス0・5%付近まで上昇している。
ソニーフィナンシャルグループは22年の米利上げについて、0・2…
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週刊エコノミスト
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