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《最新特集》CO2を処分せよ③ 25年以降の市場活性化見据え、開発進む二酸化炭素回収装置
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CO2処分3 「CO2回収装置」が続々建設 実績の三菱重工、独自の川重=加藤結花
三菱重工業は排ガスからの二酸化炭素(CO2)回収で30年以上の実績があり、排ガスからのCO2回収は世界シェアの70%以上を占める。
同社が採用しているCO2回収方法は「化学吸収法」と呼ばれ、CO2を液体中に溶解・分離し、回収する。具体的には、CO2を溶解させた吸収液を蒸気で加熱することで、CO2を分離させ純度99.9%の高純度のCO2として回収することができる。
日本、米国、マレーシア、インド、パキスタン、ベトナム、アラブ首長国連邦、バーレーンなど世界各国の石炭だき火力発電所や化学プラント向けに13プラントを納入。中でも石炭火力発電からのCO2回収においては、2016年12月末に運転開始した米国テキサス州のプラントが世界最大だ。また、英国の大手電力ドラックス社のバイオマス発電所(英国ノースヨークシャー州)から年間約800万トン以上のCO2回収を目指したプロジェクトが進行中で、プラントは27年の稼働開始を目指している。完成すれば世界最大のCO2回収量になる。
三菱重は川崎汽船と連携した世界初となる実際の航海上でのCO2回収実証や、横浜市のごみ焼却設備からのCO2回収の実証実験など、多様な排出源からのCO2回収に取り組んでいる。
「政府の制度、支援が先行する英国、欧州連合、米国、カナダが重要なグローバルでの市場と考えており、CO2回収プラントに関わる商用実績を強みに引き続き参入に注力する」(三菱重CCUSビジネスタスクフォースリーダーの洲崎誠氏)としている。
独自システム試運転へ
川崎重工業は固体吸収材を用いたCO2分離回収システム(KCC)を開発している。具体的には、CO2を化学的に吸収する特徴を持つアミンをコーティングした粒状の吸収材(大きさ数ミリ程度)を使用。固体吸収材にCO2を捕捉させて分離・…
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週刊エコノミスト
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