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《最新特集》CO2を処分せよ④ 二酸化炭素を吸収し、強度も増す「環境配慮型コンクリート」に期待高まる
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CO2処分4 デンカ CO2吸収し強度もアップ「環境配慮型コンクリート」
<Interview>
大幅なCO2の削減効果が期待される次世代コンクリートを実用化したデンカの開発者に聞いた。
(聞き手=加藤結花・編集部)
── 開発したコンクリート「CO2-SUICOM(スイコム)」の特徴は。
五十嵐 コンクリート製造時の二酸化炭素(CO2)排出量よりもCO2吸収量のほうが多い「カーボンネガティブ・コンクリート」が最大の特徴で、環境負荷の低減に寄与する製品だ。
コンクリートは建設材料として欠かせない。その主原料の一つであるセメントは製造過程で多くのCO2を排出するという問題がある。スイコムはコンクリート中のセメント量の半分以上を石炭灰や高炉スラグなどの産業廃棄物に置き換えることでCO2量を削減した。
さらに当社が開発した炭酸化混和材「LEAF(リーフ)」を使用し、高濃度のCO2で満たした養生設備に一定期間置くことで、炭酸化の反応を起こし、この際にCO2を吸収・固定して硬化。まさにCO2を“吸い込む”ことで完成する。鹿島、中国電力、コンクリート製造のランデス(岡山県真庭市)、当社の4社で共同開発した。
── 「LEAF」とは。
森 CO2を吸収するために必要な炭酸化混和材だ。カルシウムとシリカが主成分で、当社の工場で発生する副生物を使用している。CO2と積極的に反応する性質があり、この炭酸化反応によってCO2を吸収。理論上はLEAF1000キログラム当たり約500キログラムのCO2を吸収する(重量の約半分のCO2を吸収)。
また、この炭酸化反応(CO2吸収)の過程でコンクリートを高強度・高耐久化することができるのも大きなメリットで、この性質があることによって従来のコンクリートの製造方法よりセメントの量を減らし、産業廃棄物を加えても強度が維持できる。
世界に先駆け製品化
── 開発を始めた時期は…
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