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《最新特集》洋上風力発電は年間100万㌔㍗ペースで急拡大=土守豪
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洋上風力 毎年100万キロワットもの急拡大 東芝、三菱重工、日立造船、千代化=土守豪
政府は2021年10月に第6次エネルギー基本計画を閣議決定し、再生可能エネルギー(以下再エネ)を大幅に増やすことを決めた。目標は50年に二酸化炭素(CO2)実質排出ゼロだが、30年度の中間目標も設定している。中間目標での再エネ導入目標は、全電源構成に占める再エネの比率を、従来の30年目標の22~24%から、36~38%に引き上げるというものだ。
どの再エネも大幅な拡大目標だが、中でも高い目標となっているのが風力発電、とりわけ洋上風力だ。実際、洋上風力は多数の巨大プロジェクトが進行している。
日本風力発電協会によると、21年末の国内風力発電の累積導入量は、2574基・458万キロワットだが、今後は毎年100万キロワットペースで増えると予測する。増加の主役は洋上風力で、これまでの累積導入量5万8600キロワット(20年12月末)に対して、今後は事業化決定済みの計画だけでも、150万~180万キロワットが導入される見込みだ(図)。立地場所は東北の日本海側と北海道に集中している。
洋上風力は1ウインドファーム(風車が複数基まとまって発電する)当たりの規模が大きいのが特徴で、陸上風力が数千キロワットから数万キロワットなのに対し、洋上風力は数十万キロワットの規模。参入企業は、東京電力ホールディングス、東北電力などの各電力会社ほか、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事、東京ガス、大阪ガス、西部ガス、ENEOSホールディングス、コスモエネルギーホールディングス、オリックス、レノバ、三菱重工、日立造船など多様な業種に広がる。
直流送電も推進
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巨大建造物である風力発電は、本体製造や付帯設備、工事、メンテナンス、運用など、関連産業の振興にも大きく寄与するといわれる。とりわけ規模の大きい洋上風力は効果が大きく、海上工事用のSEP(セップ)(自己昇降式作業台)船建造、長期潮害に耐えられる炭素繊維強化プラスチック製ブレード(風車の羽根)の開発、高さ50メートル以上にもなる海面上の風車や海底基礎の設置工事、海洋送電ケーブルなど、関連業界が多岐にわたる巨大建設事業といっても過言ではない。日本風力発電協会では、30年までに1000万キロワットの洋上風力を導入すれば、13兆~15兆円の経済波及効果があると試算する。
洋上風力発電の設備機器ごとの主な国内関連企業を見ると、風力発電機は東芝(GEと提携)、風車軸受けは日本精工、基礎構造物は日鉄エンジニアリング、JFEエンジニアリング、SEP船は清水建設、五洋建設、大林組、東亜建設工業、鹿島、建設事業エンジニアリングは日揮ホールディングス、千代田化工建設などが挙げられる。三菱重工業(デンマークのべスタスとの合弁会社MHIべスタスジャパンを設立)は、開発・設計…
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週刊エコノミスト
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