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《最新特集》天然ガス② ロシア発ガス危機で重要性再認識 欧州はLNG基地整備も課題=編集部
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天然ガス2 ウクライナ侵攻機に世界が重要性を再認識=編集部
ロシアによるウクライナ侵攻では、天然ガスが国際紛争での武器となることが明らかになった。BP統計によると、2020年の世界天然ガス生産量は3853立方キロメートル。うち、ロシアが占めるシェアは16・6%で米国(23・7%)に次いで高い。
欧州各国で事情は異なるが、脱石炭・脱原発を進めており、天然ガス火力発電は重要な電源だ。その燃料調達をロシアに依存していたのだ。国際エネルギー機関(IEA)によると欧州連合(EU)域内で2021年にロシアから輸入した天然ガスは155立方キロメートルで、輸入量全体の45%を占める。
国際銀行間通信協会(SWIFT)からロシア勢排除を決めた際も、ロシア最大手のズベルバンクや国営エネルギー大手系のガスプロムバンクを外した。エネルギー調達のルートを残しておきたい国際社会の思惑が透ける。
ウクライナ侵攻を受けて天然ガス離れは進むのだろうか。橘川武郎・国際大学副学長は欧州のエネルギー政策について「短期的には天然ガスの重要性が見直され、現実的には石炭火力や原発の余力を使うことにもなるだろう。長期的には、再生可能エネルギー普及が加速するだろう」と分析する。
欧州について、長期では再エネや水素などの代替燃料導入が加速することは一致した見方だ。2月28日付ロイターによると、ドイツのハベック経済・気候保護相は「中長期では化石燃料の消費を減らしていかなければならない」と発言した。
ただ、短期的には天然ガスの重要性が再認識された。現実的解決策として欧州は北米からの調達を増やしている。欧州はこれまでロシアからパイプラ…
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週刊エコノミスト
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