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《戦時経済》【ウクライナ侵攻】一大ムーブメントだった「脱炭素」は一時停止を余儀なくされる=杉山太志
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脱炭素化 エネルギー確保の危機に直面 急速な移行は「一時停止」に=杉山大志
ロシアのウクライナ侵攻により、欧州が脱炭素・反原発にばかり傾注し、エネルギーにおける安全保障をなおざりにしてきたリスクが顕在化している。欧州のロシアのガスへの依存度は危険なまでに高まっており、2012年と20年を比較すると、ロシアへの天然ガス依存度は、ドイツが37%から49%に上昇した。
これだけ依存度が高まれば、ロシアへの経済制裁は及び腰になる。それを見透かして、ロシアのプーチン大統領は戦端を開いたと思われる。この「戦時」は今後、数年は続くであろう。先進諸国のエネルギー政策は、地球温暖化対策よりも、まずは、独裁主義に対する民主主義の勝利に寄与することが最優先となる。
その結果、数年はかかるが、世界有数の産油国・産ガス国であるロシアが世界市場から徐々に締め出されることになる。すると世界全体で石油・ガスは品薄になり、価格が高騰するだろう。すでに、原油の指標価格であるニューヨークWTI原油先物価格は3月上旬時点で1バレル=120ドルを超えており、08年の過去最高値(147ドル)の更新をうかがっている。
米国では共和党のみならず、与党・民主党のマンチン議員らまでもが、バイデン政権のこれまでの環境政策こそが米国内の資源開発を妨げ、ロシアに力を与えたと糾弾し、規制緩和と石油・ガスの増産を訴えている。米国では今後、超党派で化石燃料の増産を可能にする立法がなされ、今年11月に中間選挙を控えるバイデン大統領も無視できなくなるだろう。
ドイツは石炭火力発電所を30年までに段階的に廃止し、原子力を今年末までに閉鎖する計画としていたが、ショルツ首相は2月27日、「安全保障のためにも決定的に重要」と述べ、計画の先延ばしを示唆した。さらに、石炭火力廃止までの移行期のエネルギー源として、ロシアからの天然ガス輸入に期待していたが…
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週刊エコノミスト
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