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《戦時経済》【ウクライナ侵攻】非難決議に「反対」した北朝鮮とロシアの微妙すぎる関係=三村光弘
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北朝鮮 対露非難決議の「反対」は欧米「二重基準」への反発=三村光弘
北朝鮮は3月2日、ロシアのウクライナ侵攻を受けた国連の緊急特別会合で、ロシア非難決議に東アジアの国で唯一反対した。ただ、北朝鮮がロシアを支持するのは、ロシアに好意を持っているためではない。同じ行為でも欧米が自らの行為は黙認しながら、非友好国や敵対国は非難するという、多くの発展途上国が感じる「二重基準」によって、ロシアが今回は傷つけられる側であるとの認識によるところが大きい。
北朝鮮は今回のウクライナ侵攻について、ほとんど発信していない。数少ない発信が2月28日発の朝鮮中央通信で、北朝鮮外務省の報道官が対露制裁に関する朝鮮中央通信記者の質問に回答する形で、「ウクライナ事態が発生するようになった根源は、他国に対する強権と専横をこととしている米国と西側の覇権主義政策にある」と述べた。
この発言は、北朝鮮の国としての発言としては最も弱く、外務省報道官が記者の質問に答えるという形を取っている。ただ、報道官は同時に、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大やイラク戦争やアフガニスタン戦争、リビア戦争を例に挙げながら、「米国と西側が今になって、自分らが触発させた今回のウクライナ事態について『主権尊重』と『領土保全』をうんぬんするのは、理屈に合わない」とも述べている。
つまり、北朝鮮は米国や欧州、日本、韓国が何かをすれば常に正しく、北朝鮮やロシア、中国が何かをすれば批判され、指弾されるという「二重基準」の現状に、強烈な不満を持っていることが分かる。昨年10月11日の国防発展展覧会での金正恩総書記の記念演説でも、やはり米朝関係や南北関係において「二重基準」があることに不満を示している。
緊密でない経済関係
ロシアと国境を接する北朝鮮だが、経済関係はそれほど緊密ではない。ロシアは北朝鮮とビジネスはするが、一方的な支援はしない。北朝…
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週刊エコノミスト
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