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《戦時経済》【ウクライナ侵攻】米国のネオコンがトランプ氏攻撃を強めるワケ=会田弘継
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米国 息を吹き返す新保守主義者 目算狂うトランプ氏の再出馬=会田弘継
ロシアによるウクライナ侵攻は、思わぬ形で米国の国内情勢に影響を及ぼしている。
トランプ前大統領と、前大統領を支持し「孤立主義」を掲げる新しい右派運動に関わる政治家や論客たちは、ロシアのプーチン大統領を保守派の模範とたたえてきた。トランプ氏自身は侵攻直前まで、ウクライナ包囲作戦で圧力をかけるプーチン氏を「天才」と呼んだほどだ。
そのため、侵攻が始まって米国内外で反プーチンの世論が急激に高まると、トランプ氏とその支持勢力に逆風が吹き出した。代わって、トランプ派の新しい運動に追い込まれ、一部は共和党から民主党支持に転向した旧来の保守派が息を吹き返す気配だ。代表的なのは、ネオコン(新保守主義者)と呼ばれた政治活動家や論客たちだ。
親プーチン発言などを非難されているトランプ氏の支持派には、2024年の次期大統領選での共和党候補選びへ出馬が予想されている人物が何人もいる。ウクライナ情勢の進展次第で、トランプ氏自身も含め、そうした人物らの目算が狂う可能性もありそうだ。
トランプ氏への非難の理由は「天才」発言だけではない。16年大統領選挙ではロシアによる民主党本部サイバー攻撃などがトランプ陣営に有利に働いたことから、トランプ政権の親プーチン姿勢には批判がくすぶり続けていた。それがウクライナ侵攻で一気に燃え上がった。
ポンペオ氏も矛先
批判の急先鋒(せんぽう)になっているのは、トランプ氏と反りがあわず、16年と20年の大統領選挙でトランプ落選運動を繰り広げた共和党内の「ネバー・トランプ」派。中心はネオコンの大物論客で、保守系ネットメディア「ブルワーク」編集主幹を務めるビル・クリストル氏らだ。トランプ氏同様に、やはり侵攻開始直前までプーチン氏を「有能だ」と褒めそやしていたポンペオ前国務長官や、侵攻後もプーチン擁護発言を続けた保…
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週刊エコノミスト
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