経済・企業

《世界経済入門》ウクライナ侵攻後に大幅安も、市場は脱ロシアを織り込み始め反発の動き=市川雅浩

株式市場は未知のリスクに敏感に反応する(ニューヨーク証券取引所) Bloomberg
株式市場は未知のリスクに敏感に反応する(ニューヨーク証券取引所) Bloomberg

何が起きるか1 株式大波乱 危機前後の急落から反発へ 日経平均は年末3万円守る=市川雅浩

 2月24日のロシアによるウクライナ侵攻を受けて、欧米諸国は26日、ロシアの一部銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除し、ロシア中央銀行が外貨準備を活用できないように制限を科す経済制裁を発動した。この間、世界の金融市場は大きく動揺し、原油価格が急騰、主要国の株価指数は軒並み大幅安となった。

 24日の米ニューヨーク株式市場で主要株価指数の「ダウ工業株30種平均」が一時、前日比800ドル超も急落。終値では2021年3月末以来の安値となった。その前日まで5日連続で下落していたダウ平均の下げ幅は、合計1800ドルに達した。

 東京市場でも24日、日経平均株価が1・8%下落。今年1月に付けた昨年来安値を更新し、20年11月以来1年3カ月ぶりの安値となった。さらに、英FTSE、独DAX、仏CACなど欧州主要国の指数も軒並み値を下げた。

未知の「脱ロシア」を嫌気

 この株価の動きは、どういう仕組みで起きたのか。株価の決定プロセスから解説する。

 まず株価とは、株式の値段であり、株式の買い手と売り手の、需要と供給が均衡するところで決まる。つまり、買い手が売り手よりも多ければ、需要が供給を上回り、株価は上昇する。逆に、売り手の方が多ければ、株価は下落する。

 株価の変動要因で、最も重要なのは企業業績である。例えば、ある企業の売上高や利益が将来増加する見通しとなった場合、一般には、投資家への利益分配(配当)の増加が期待されることから、その企業の株式を買いたい投資家が増え、株価は上昇しやすくなる。

 株価は、景気、金利、為替レート、政治、国際情勢、災害、疫病などにも大きな影響を受ける。例えば、景気が回復し、企業業績が改善すれば、株価は上昇しやすくなる。また、特定地域の軍事的緊張の高まりなどで国際情勢が悪化し、世界全体の景気や企業業績の先行きに不透明感が増せば、株価は下落しやすくなる。

 ロシアのウクライナ侵攻は、まさにこの状況を招いたといえる。

 ウクライナ侵攻を受けた株価の動きをさらに具体的に見る。表1は、日米欧の主要株価指数について、ロシアの軍事侵攻前日を基準とし、直近安値までの下落率をまとめた。いずれも大幅に下落しているが、これは今回の国際情勢の悪化が、資源大国で、かつ、欧州諸国と経済的結び付きの強いロシアに起因していることが大きい。

 すなわち、「経済制裁によるロシア産原油の供給減少→原油価格の上昇→世界的なインフレ進行→各国で金融引き締め→世界経済の成長鈍化」や、「経済制裁によるロシア経済の低迷→西側欧州諸国の景気悪化→世界経済の成長鈍化」という見方が、株安につながったと推測される。

 ただ、最近では、ロシアのウクライナ侵攻が続くなかでも、日米欧の主要株価指数に反発の動きがみられる(表1)。これについては複数の要因が考えられる。

 一つは、ウクライナとロシアの停戦に向けた話し合いが続いていることである。協議は難航しているものの、将来の停戦合意に向けた期待が形成され、一定程度相場を支えていると思…

残り879文字(全文2179文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

7月12日号

止まらないインフレ 資源ショック20 衝撃は石油危機に匹敵 「資源小国」日本の正念場 ■荒木 涼子/和田 肇24 原油の行方 2次制裁発動なら記録的高騰へ ■原田 大輔27 中国・インド “ロシアに冷淡”な資源輸入国 ■和田 肇29 戦略物資 EVや再エネの普及に必須の「銅」 ■片瀬 裕文30 天然 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事