経済・企業

《スタートアップの時代》区外でもOK、渋谷区の本気度=小林剛

ベンチャーの聖地・渋谷
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自治体の支援1 区外もOK、渋谷区の本気度=小林剛

 大阪市淀川区に本社を置く子育て支援サービス、BABY JOB(上野公嗣社長)による「手ぶら登園」が今年から東京・渋谷区の全18カ所の区立保育園で導入された。これぞ渋谷区のスタートアップ支援事業のたまものなのだ。

「手ぶら登園」とは、同社が手がける紙おむつサブスクリプション(定額制サービス)のサービス名で、月額2280円(税別)を支払うと、保育園にある紙おむつ、おしりふきが使い放題。保育園に通園する子を持つ親にとって、紙おむつに1枚ずつ子の名前を書き、毎日何枚も持参する手間も荷物も省ける便利なサービスだ。

 渋谷区は、スタートアップに事業の実証実験の場を提供する「イノベーション・フォー・ニューノーマル・フロム渋谷」を展開中で、それを知ったBABY JOBが応募、手ぶら登園を試験実施した。参加した保護者たちへのアンケートで9割が「満足」と答えたため、導入が決まった。

 実験の場の提供は、渋谷区のスタートアップ支援の柱の一つで、事業の「独自性」「優位性」「実証実験により期待できる成果」などを基準に審査するが、区外のスタートアップでも参加できる。海外もOKだ。これまでに35社が選ばれ、遠隔操作ロボットによる子育て支援、オンライン授業を受ける人の表情などのAI(人工知能)解析、介護士不足解消のためのマッチングなど、それぞれ調布市、世田谷区、荒川区と区外の事業者に実験の場を提供してきた。

 20年6月のスタート以来、213件の応募があった。「宣伝しているわけではないが、毎月10~15件の応募がある」(渋谷区グローバル拠点都市推進室)。

 スタートアップ支援のもう一つの柱は、起業のサポートだ。起業する際の高いハードルのオフィスなどの賃貸や銀行口座開設がスムーズに運ぶよう手助けしている。渋谷区の審査を通過すれば、最短1週間でみずほ銀行に口座開設でき…

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