経済・企業

《スタートアップの時代》非上場企業に投資できるクラウドファンディング=大山弘子

あなたもエンジェル 非上場の成長企業に投資できるクラウドファンディング=大山弘子

 独自のアイデアや技術で、新たなビジネスやサービスに挑戦している非上場のベンチャー企業は少なくない。だが、証券取引所に上場していない非上場株式の取引は、プライベートエクイティ(PE)ファンドやベンチャーキャピタルなどの大口投資家やプロによる投資が中心だ。1997年7月には、日本証券業協会が個人投資家でも非上場株式を売買できるグリーンシート市場を設けたが、2018年3月31日に廃止されている。

 しかし、株式投資型クラウドファンディング(CF)を活用すれば、個人投資家でも非上場企業に投資できる。

 株式投資型CFは、非上場企業が株式を発行し、インターネットを通じて多くの人から少額ずつ資金を集める仕組みだ。成長企業への資金供給を目的として、15年5月に制度が創設され、17年4月に第1号案件が募集を開始。以降、取扱件数、資金調達額とも順調に推移している(図1)。

 株式投資型CFでは、投資家へのリターンとして株式(非上場株式)を付与する場合と、一定の条件を満たすことで、株式を取得することができる権利(新株予約権)を付与する場合がある。

 募集方法の違いで、「All-or-Nothing(目標金額を達成した場合のみ支援金を受け取る)方式」と、「All-in方式(目標金額を達成せずに終了しても集まった分だけ支援金を受け取る)」にも分けられる。

 非上場企業の株式を扱う株式投資型CFは、金融商品取引法の規制対象だ。そのため、株式投資型CFを行う金融商品取引業者(CF業者)は、第一種少額電子募集取扱業者として財務局に登録され、日本証券業協会に加入することが求められる。22年2月1日時点では、5社が該当する(表)。

 CF業者では、非上場株式を発行する会社の財務状況や事業計画の妥当性、資金の使い道などを審査し、審査をクリアした会社の有価証券を取り扱う。個人投資家は、CF業者を介して、株式投資型CFへの投資を行うことになる(図2)。株式投資型CFは、投資経験や金融資産などCF業者が定める取引開始基準に適合する投資家のみ、取引できる。

 株式投資型CFでは、一つの非上場企業が1年間に調達できる資金総額を1億円未満と定められている。1人の投資家が同一企業に投資できる金額は年間50万円以下だ。CF業者は、自社のウェブサイトの閲覧や電子メールの送信によってのみ勧誘できる。電話や訪問での投資勧誘は禁止されている。

少額から投資できる

 では、株式投資型CFは、投資家にとってどのようなメリットがあるのか。

 一つ目は、10万円程度から非上場株式に投資できることだ。一般的に、非上場株式を購入するには、企業と直接交渉するなどの手間に加え、数百万円から数千万円もの膨大な資金が必要とされる。株式投資型CFを利用すれば、手間も膨大な資金も…

残り1047文字(全文2247文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

2月7日号

賃上げサバイバル16 大企業中心の賃上げブーム 中小の7割は「予定なし」 ■村田 晋一郎19 インタビュー 後藤茂之 経済再生担当大臣 賃上げは生産性向上と一体 非正規雇用の正社員化を支援20 「賃上げ」の真実 正社員中心主義脱却へ ■水町 勇一郎22 賃上げの処方箋 「物価・賃金は上がるもの」へ意 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事