経済・企業

《スタートアップの時代》リスクに挑むクールな起業家が増えてきた=藤野英人

レオス・キャピタルワークス提供
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インタビュー 藤野英人 レオス・キャピタルワークス社長 リスクに挑むクールな起業家が増えてきた

 個人投資家に圧倒的人気の「ひふみ投信シリーズ」を運用し、多くの起業家を知る藤野英人レオス・キャピタルワークス会長兼社長に、新しい起業家像と注目の業種を聞いた。

(聞き手=横山渉・ジャーナリスト)

── 藤野社長は、日本の起業家をたくさん見てきたが、その人物像は、ずいぶん変わったのではないか。

藤野 かつての平均的な起業のスタイルといえば、30歳で起業して、60歳で上場というパターン。だから、上場するといっても、ほとんどがどこか前時代的な中堅企業という時代が続いていた。

 米国のナスダック市場の成長を見て、日本でもナスダック・ジャパンが2000年に創設された。しかし、最初はソフト面が追いつかなかった。新興企業をよく知り、資本政策を熟知している証券会社もなければ、新興企業を支える銀行、公認会計士、税理士、弁護士も不足していた。バックアップする体制がないところから起業した人というのは非常に冒険的だったけれど、リスクが何かということをよく知らずに起業していたと思う。

 それから20年以上たち、新興市場のことをよく知る専門家が各分野で育ってきた。何よりも大事なのは、先輩経営者が新興市場を利用して会社を作って大きくして、上場したり買収されてお金持ちになり、そして経営も経験したエンジェル投資家が育ったことだ。そうしたソフトインフラができたのは、非常に大きな成果だ。これはベンチャーエコシステムといわれるもので、米国ではそれが非常に分厚い。

計算可能な冒険

 起業は今でも冒険的なものだが、ソフトインフラが出来上がったことに伴い、起業をリスクとリターンで測ることができ、計算された一定のリスクのもとに挑戦して成功を目指すものに成熟してきた。

 リスクとリターンをきちんと考え、なおかつ人格的にも非常にバランスの取れた人たちが人生の大事な選択肢として起業というものを位置づけている。

 この20年間で米国ではGAFAM(巨大IT企業群)のような会社が成長したが、日本では大企業が低迷して投資先として魅力がなくなってきた。相対的に新興市場やベンチャーは魅力的なものになってきた。これらの大きな背景があって、日本でもベンチャーが育つ土壌ができてきたといえる。

── ベンチャー企業が社会に定着してきた?

藤野 かつてのベンチャーブームのときは、はっきりいって、ヤンチャな人が多かった。だから、いろいろ悪さをした人もいたし、成功しても、お金の使い方がよくなかったりして、世間からの評価は厳しかった。

 でも、今は計算されたリスクを取って、そこに挑んでいくクールな感じの人が生まれるようになってきているので、起業やベンチャーとして挑戦することが、アウトサイダーからメインストリームになろうとしている。

社長は中学1年生

── 具体的に、どんな若手経営者が思い浮かぶだろうか。

藤野 例えば、スキマバイトアプリ、タイミーの小川嶺さんはまだ大学生で25歳だが、会ってみて、知識も落ち着きぶりも40~50代の経営者と同じだ。でも若いので、エネルギー…

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