経済・企業 起業の時代
《スタートアップの時代》京都 外国人起業家の獲得競争=大井裕貴
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自治体の支援2 京都 外国人起業家の獲得競争へ=大井裕貴
グーグル、ズーム、ウーバー、テスラ、モデルナ──世界を席巻する、これら先端企業は、外国人や移民が創業したという共通点を持つ。こうした「よそ者」は、移民先の社会にはない観点を生かしてイノベーションを生み出してきた。彼らは世界市場をにらみながら製品・サービスを開発するため、海外市場で通用する確率も高まる。
近年、外国人起業家の獲得競争が世界で激化している。既存産業や自国人材だけでは経済成長が見込めない先進国などが、市場や雇用の創出に向けて創業人材を誘致している。欧州や南米など20カ国以上が、外国出身の起業家に一定期間在留資格を緩和する「スタートアップビザ」制度を導入している。世界の先端産業をけん引する米国でさえも、国際競争力の強化を図るべく、外国人起業家への新たな在留資格の導入に向けた議論を進めている(『Forbes』電子版、3月12日)。
日本では、2015年からスタートアップビザを導入している。外国人が日本で創業する場合、「経営・管理」の在留資格を取得しなければならない。取得には、事業所の確保や500万円以上の出資または2人以上の常勤職員の雇用といった条件が課せられる。スタートアップビザは、このハードルを越えるための準備期間として、最長1年間の在留を認める制度だ。現在、国家戦略特区の10自治体および経済産業省が認定した15自治体で実施している。
京都府は、その一つで、府内産業の国際競争力強化などを目的として、京都市などと連携して20年4月にスタートアップビザを始めた。ビザの申請者は、法人設立に関する行政書士への相談や資金調達に関する弁護士への相談、オフィスの賃料補助、銀行口座開設に向けた銀行の紹介なども利用できる。ジェトロ京都が窓口を務め、日英両言語で対応している。
スタートアップビザを取得した米国籍のファリッド・ベ…
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週刊エコノミスト
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