週刊エコノミスト Online編集後記

斎藤信世/稲留正英

編集部から

「失われた30年──」。本屋でみかけた経済本のタイトルに、嫌気がさした。「平成生まれの歩みを否定しないでほしい」。胸の内は、こんな感じだったと思う。

 平成の30年は確かに経済は低迷していた。巨額の財政赤字や上がらない賃金。右肩上がりで成長を続ける米国株に対し、ほぼ横ばいで推移する日経平均株価。デフレマインドから脱却できず、国が成長しているという実感も乏しい。昨年2月、日経平均が30年半ぶりに3万円台を回復した際は、盛り上がる周囲との温度差にどこかさみしさを感じた。平成生まれの記者は、生まれてから一度も、好景気というものを経験したことがない。

 平成が「失われた時代」と評される度に、憤りや悔しさを感じるのだが、否定するための十分な材料も見当たらない。ゴールデンウイークは「平成とは何だったのか」を探る時間にしたいと思う。

残り1079文字(全文1446文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事