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《防衛産業&安全保障》 実は台湾侵攻には到底足りていない中国軍の兵力=谷田邦一
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台湾侵攻の虚実 到底足りない中国軍の兵力 習政権に大ばくちは打てない=谷田邦一
ロシアのプーチン大統領が2月にウクライナを電撃侵攻して2カ月余り。ウクライナの首都キーウ(キエフ)攻略こそ断念したものの、東部地域では今なお猛攻と虐殺が続く。欧州のみならず世界中を巻き込みながら拡大する戦争は、日本を含むアジアにも暗い影を落とし、「今日のウクライナは明日の台湾」などとささやかれ始めた。ウクライナ戦争は台湾海峡に飛び火するのか。中国の今後の動きについて考えてみた。
「いかなる国の合理的な安全保障上の懸念も、尊重されなければならない」(中国人民網日本語版)──。
開戦直前の2月22日。中国の王毅外相はブリンケン米国務長官と電話会談した際、こう述べてロシアの立場に理解を示した。「安全保障上の懸念」とは、北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を脅威とみなすロシアの認識をさす。同じ日、中国外務省の報道官は定例会見で「ウクライナと台湾の類似性」について尋ねられ、次のように答えた。「世界にはただ一つの中国だけがある。台湾は中国領土であるため譲ることができない部分だ」。中国共産党にとって台湾の統一は、国共内戦で分断されて以来、今なお最大の悲願であり続けている。
軍事的拡大を続ける中国にも分厚い包囲網が築かれつつある。米英豪3カ国が昨年結成した安全保障パートナーシップ「AUKUS(オーカス)」、日米豪印4カ国による「QUAD(クアッド)」、日米豪閣僚級戦略対話(TSD)、そして大幅に強化される日米同盟。これらが「NATOの東方拡大」に匹敵する脅威と映っていることは想像に難くない。ロシアの作戦は失敗の連続だが、中国がそうした理由で台湾侵攻をあきらめることはありえない。
ロシアの当初のもくろみは、クリミア併合と同じくウクライナ全土を数日で陥落させることだったとされる。ところが戦争の混迷が長引き国際社会は強く反発、経済制裁や民間人虐殺への非難などによってロシアは重層的に締め上げられている。中国が学んだ教訓はいくつも挙げられよう。
米国の戦略的要衝
一つは核兵器で脅せば欧米は軍事介入をためらうということだ。プーチン大統領が核戦争へのエスカレートを示唆しただけで、米国やNATO諸国は直接の軍事介入におじけづいた。もう一つは、侵攻された側が無勢であってもその抵抗力が戦況を大きく変えることがありうるということ。ウクライナ側の士気は予想以上に旺盛で、ロシア側にも多大な犠牲を強いて侵攻作戦に大きな打撃を与えた。
台湾やその周辺国ではウクライナと自国を重ね合わせた議論が盛んに交わされている。台湾の蔡英文政権は当初、「ウクライナは台湾ではない」と高をくくっていたが、侵攻が始まると「台湾はウクライナと共にある」と連帯を呼びかけ制裁の輪に加わった。米軍が軍事介入を見送ったこともあり、蔡政権は「自衛の決意と能力を…
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