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《防衛産業&安全保障》 ウクライナ戦線のドローン兵器「バイラクタルTB2」で名を上げたトルコ企業の素顔=部谷直亮
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ドローン兵器 ウクライナ側に戦果の「TB2」 トルコ・バイカル社の意外な素顔=部谷直亮
ロシアによるウクライナ侵攻では、民生技術をベースとした兵器や民生品そのものが威力を発揮している。代表的な存在がドローン兵器だ。在来兵器と組み合わせることで大きな威力を発揮している。
戦争で利用されるドローンは軍用の億円単位の高額なものから、趣味用レベルの10万円程度と価格帯に大きな広がりがある。そのうち、高価なドローン兵器として、ウクライナ側の抵抗に威力を発揮しているのが、トルコ企業バイカル社が製造する「TB2」だ。
TB2は、地上の管制車両から操縦して最大27時間も飛行が可能で、4発の精密誘導爆弾を搭載する機体だ。長さ6・5メートル、翼幅12メートルとドローン兵器としては中型に属する。
軍事情報ブログ「Oryx」によると、開戦以来、公開された映像だけでも装甲車6両、火砲6門、多連装ロケット砲1基、地対空ミサイル10基、司令部2カ所、通信システム1基、ヘリ9機、燃料列車2両、トラックなど24両を撃破したという。これだけでも6億ドル(約750億円)以上の損害をロシア側に与えたとの指摘もある。TB2は1機数億円であり、兵器としてのコスト優位性が今回の戦争で証明されたといえるだろう。
これらの戦果はウクライナ軍が公開もしくはリークされた映像からの累計であり、実際のTB2による戦果はこれを上回る可能性が高い。なぜなら映像が公開されること自体が異例であり、手の内を読まれることを避ける意味でも一部とみるべきだ。しかもTB2は、ウクライナ軍の砲撃を空中から誘導する役割も担っており、効果的な砲撃を実現している。
ロシアの黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦「モスクワ」の4月の撃沈にもTB2が関係したとみられている。TB2が「おとり」となってモスクワの対空監視を引き付けている間に、沿岸のウクライナ側から国産巡航ミサイル2発を発射してモスクワに命中させたとウクライナ、ロシア、トルコ筋からリークされている。ロシア海軍の旗艦が沈むのは日露戦争以来だ。ロシア国民に大きな衝撃を与えたことは想像に難くない。
自動車下請けから飛躍
TB2は2020年に勃発したナゴルノカラバフ紛争でも威力を発揮した。黒海とカスピ海を挟んだカフカス地方で国境を接するアルメニアとアゼルバイジャンによる紛争において、TB2はアゼルバイジャンの主力兵器として活躍。一説には陸上自衛隊1個師団に匹敵するアルメニア軍の戦力─戦車・装甲車187両、防空システム31基、火砲など257基、非装甲車両386両、電子戦システム10基など─をせん滅したことで、TB2の音を聞くだけで逃げ出す兵士が続出した。
TB2は機体と移動式地上管制システムなどで構成され、機体の生産コストは1億~2億円程度。対して、地上から航空機を撃墜する「パトリオットミサイル」(米レイ…
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