投資・運用

《超円安サバイバル》インフレ率2%に備えた資産防衛を考える=深野康彦

クレジットカード会社が発行する商品券が狙い目 Bloomberg
クレジットカード会社が発行する商品券が狙い目 Bloomberg

円安時代の「家計防衛」=深野康彦

商品券とクーポンを賢く使う つみたてNISAの「非課税枠」に注目

 円安が長期化する局面で家計を守るには、金券ショップの活用や、REIT、先進国株などへの投資が鍵となりそうだ。

 円安がさまざまなモノの値上げを加速させている。消費者物価指数の上昇率に反映されるには時間がかかるが、家計支出の観点からは、大幅な値上げが進んでいると感じても、おかしくはないだろう。

 円安がいつまで続くかは定かではない。しかし、日銀が0.25%で国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」を続ける中で、預貯金をはじめとする「元本保証」の金融商品の金利が上がることはほとんどない。コロナ禍で膨れ上がった預貯金や現金の価値は今後低下していくことになる。

 値上げにより家計の購買力を低下させないためには、物価の上昇以上に収益を確保していく必要がある。欧米のように8%近い消費者物価の上昇は考えにくいが、日銀が政策目標とする2%の上昇はあり得る。また、2%を超える物価の上昇が恒常的になれば、日銀が政策変更を行い、円安に歯止めがかかる可能性もある。

 そこで消費者物価の上昇率を2%と考えて、どのように資産防衛を行えばいいか考えよう。

 1年物の定期預金金利は、大手メガバンクで年0.002%、比較的金利が高めのオリックス銀行でも年0.17%しかない(表1)。元本保証の商品では個人向け国債もあるが、固定金利型の3年、5年は年0.05%、半年ごとに金利が見直される変動10は年0.17%に過ぎない。

 そのため、定期預金や個人向け国債では到底2%をカバーできないため、おのずと株式や投資信託などを資産に組み入れる必要があるだろう。ただ、これまで投資を行ったことがない人にとっては株式や投資信託を購入するのはハードルが高い。2022年は21年と比較して株式市場の乱高下が激しいことから、投資初心者には家計の支出を見直すことを提案したい。

ランチでも数千円お得に

 近年は、キャッシュレスが進んでいるが、あえて商品券を金券ショップで購入して買い物を行うことを第一歩としたい。商品券といってもいろいろあるが、JCBやVISAなどのクレジットカード会社が発行する商品券を活用したい。残念ながらおつりはでないものの、額面1000円に対して981〜985円前後で販売されている。割引率に直せば1.5〜1.9%になる。2%に届かないもののかなり値上げ分をカバーできる。都内では、新宿や新橋は競争が激しいため、割引率が高い商品券が見つかる可能性がある。

 クーポンを利用するのも支出を抑えるには有効な手段である。ランチを食べる場所、あるいは頻繁に買い物をするお店などをスマートフォン登録しておくと、クーポンは容易に手に入ることだろう。

 例えば、ランチでいつもと同じものを100円引きで食べたとしよう。たかが100円と思われるかもしれな…

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