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EUがエネルギーの「脱ロシア」戦略に込めた本気度=山本隆三
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EUの脱ロシア
大規模投資の具体策発表脱炭素化へ「何でもやる」=山本隆三
ロシアによるウクライナ侵攻に伴い、欧州連合(EU)首脳は今年3月下旬、2027年までにロシア産化石燃料を断つことで合意した。これを受け、欧州委員会(EC)はロシア産石炭の輸入を今年8月から禁止することを決め、原油と石油製品輸入も年内に禁止するよう加盟各国に提案した。5月18日には、脱ロシア産化石燃料を27年までに実行する具体策「リパワーEU」を発表。27年までに必要な投資額は2100億ユーロ(約29兆円)。30年までに3000億ユーロ(約41兆円)を投資する計画だ。
ECの狙いは、今まで公表されていた脱炭素計画を強化することで脱ロシアと同時に脱炭素を加速することにあり、具体策として3分野をカバーしている。一つ目は省エネによるエネルギー消費抑制だ。省エネ住宅の導入などで30年には20年比13%のエネルギー効率改善を目標とした。二つ目は化石燃料購入のロシア外への分散だ。天然ガスインフラへの新規投資も必要になり、加盟国の任意参加による天然ガス、水素の共同購入構想も提案されている。
三つ目は再エネ設備と水素・バイオメタン導入を進めることだ。20年に22%だった最終エネルギー消費に占める再エネ比率を30年に45%とする。短期間で導入可能な太陽光発電設備については、21年のEU導入量1億6000万キロワットを25年までに倍…
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週刊エコノミスト
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