テクノロジー EV・日本の大逆襲
《EV・日本の大逆襲》中国の排ガス規制と商用EV普及の密接な関係=湯進
ゼロコロナ政策をものともせず、商用EVの販売が急増している。
急拡大する中国の商用EV市場=湯進
「今年3月末から始まった都市封鎖(ロックダウン)により、中国最大の都市、上海市の新車販売台数は4月にゼロ台であった」(上海市自動車販売業協会)。
中国政府が感染防止対策で講じた「ゼロコロナ政策」が、外出が制限された都市の自動車市場を直撃した。商用車もインフラ建設、不動産工事の停滞、物流の制限により、2022年1~4月の販売台数が前年同期比39.8%減少した。
一方、電気自動車(EV)を中心とする商用新エネルギー車(NEV)の販売台数は同1~4月に同77.1%増加した。中国の大都市で、「巣ごもり需要」でネット通販の宅配荷物が急増しているなか、通行規制の厳しい内燃機関タイプの商用車に対し、規制が緩和された商用NEVの需要が増加しているためだ。
中国交通運輸省は今年1月、交通のグリーン化に向けた5カ年計画(21~25年)を発表し、営業車両のNEVへの転換を推進している。25年には営業車両の二酸化炭素の排出量を20年比で5%減らし、営業車両に占めるNEVの割合は路線バス72%、タクシー(配車サービス車両含む)35%、都市物流車両20%を目標とする。中でも大気汚染防止の重点都市(北京、上海など)では新規投入する営業車両のNEV割合を80%以上に高める。
21年末時点で、中国における商用車の保有台数は自動車保有全体の約11%を占めているものの、環境汚染物質である窒素酸化物(NOx)の排出量では自動車全体の61.5%を占めている。こうした中、地方政府が公共車両の電動化を推進し、かつ物流企業に二酸化…
残り1035文字(全文1735文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める