経済・企業

東芝再建で「機微技術」をどう守るか=鈴木一人

経済安保の実現は政府の責任

 経営再建に向けて困難が続く東芝の救済案として、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)が買収に名乗りを上げていると報じられている。背景には、経済安全保障にかかわる政府の強い問題意識がある。東芝は原子力部門や防衛部門など、機微な技術を持つ企業だ。海外ファンドが東芝の買収に強い関心を示しており、技術保全のために取り得る手段を検討した結果と考えるのが自然だ。

 外国為替及び外国貿易法(外為法)では、機微な技術を持つ企業を海外投資家が買収しようとする場合、事前届け出による審査を受ける。海外投資家というだけで許可が下りないというわけではないが、機微な技術を持つ部門の採算性が悪い場合、海外投資家が第三国に売却するなど、技術流出を管理することが難しくなるケースも考えられる。そのため、安定した投資家に買収されることが経済安全保障上、重要な意味を持つ。

外為法の限界

 実際、機微な技術を持つ企業が経営難に陥り、企業価値を向上しようとする場合、政府として取り得る手段は二つしかない。

 一つは、政府系ファンドによる経営再建を目指し、機微な技術の流出を制限しながら、企業を再構築し、収益性を高めて企業価値を回復するという方法である。もう一つは、機微な技術の部門を切り離して国有化することで国が丸抱えし、技術の流出を管理した上で、残った部門で企業再建を図るという方法だ。

 JICが買収となれば、政府が前者を選択したことになるだろう。仮に後者を選択となると、東芝が抱える原子力部門、防衛電子部門、量子暗号やAI(人工知能)技術にかかわる研究開発部門などを国有化するといったことが考えられる。

 自由主義経済を続ける限り、機微な技術を持つ民間企業が経営困難になる可能性は常にあり、企業に対して海外投…

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週刊エコノミスト

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