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経済・企業 統計クライシス

大学発の物価指数を続けるために選んだ道=黒崎亜弓

データビジネス

 POSデータなど民間企業が業務で集めたデータがビジネスを生んでいる。速報性や、詳細な分析が投資などに有用だからだ。

日次で算出されるCPI、日銀もしばしば引用=黒崎亜弓

 物価高が参院選でも焦点に浮上している。物価動向を捉える公的統計は、総務省の消費者物価指数だ。調査員が店頭で価格を調べる。6月分は7月22日に公表される。

 一方、スーパーのPOSデータ(販売時点情報管理)をもとに日次で算出されるのが「日経CPINow」。翌々日には分かるというが、ナウキャスト社の有料会員でなければ見られない。

「日経CPINow」は東京大学大学院経済学研究科の渡辺努教授が渡辺広太氏と開発した。デフレ(物価下落)研究の一環だった。2013年5月から研究室のウェブサイトで公開を始めた。

 折しも13年4月、日本銀行が「2年でインフレ2%」を掲げて大量の国債購入を始めたタイミングで、いち早く物価動向を知ることができる指標として注目を集めた。

 渡辺教授は15年に東大発ベンチャーとしてナウキャストを創業する。「研究室でデータを加工していては個人技に過ぎず、私が研究できなくなったら終わる。持続可能性を考えると企業だと思った。もうけるために持続可能性のある良いサービスを提供しようとする」。POSデータに基づく分析サービスの有料会員を募り、指数のみ無料公開を続けた。

無料公開はビジネスの妨げ

 しかし、間もなくして方向転換を迫られる。有料会員を増やすには、指数の無料公開をやめるようアドバイスを受けたのだ。「データにお金を払ってくれる人は情報の格差を作りたい。税金の研究費を使ったプロジェクトから生まれた指数で…

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