経済・企業

ウクライナ危機で再戦略迫られるバイオ燃料=近内健

欧州の再エネ戦略

 欧州の国々がバイオ燃料の使用義務の緩和に動きだした。

バイオ燃料の使用義務を緩和植物油の急騰で脱炭素に逆風=近内健

 ロシアによるウクライナ侵攻で、エネルギー価格は大きく上昇した。金融引き締めの影響もあって足元では多少落ち着きも見られるが、6月22日時点で国際的な価格指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物価格は1バレル=110ドルと、侵攻前よりも2割程度高い水準で推移している。

 侵攻前にエネルギーの多くをロシアに依存していた欧州連合(EU)は5月18日、化石燃料の脱ロシア依存を2027年に達成する計画案 “REPower EU” を発表した。省エネやエネルギー供給の多角化、再生可能エネルギー導入の加速を柱として、ロシアの化石燃料への依存を減らそうというものだ。

 こうした動きとは別に、欧州の一部の国では再生可能エネルギーの一種であるバイオ燃料の使用義務を緩和しようとする動きが見られる。例えば、フィンランドは道路輸送燃料に占めるバイオ燃料比率の各年の義務付けを22年と23年とでそれぞれ7・5ポイント引き下げ、12%と13・5%にすると発表。スウェーデンは23年のバイオ燃料の混合義務の水準を、22年の水準から引き上げずに維持することを検討している。ドイツは作物由来のバイオ燃料の使用割合として義務付けられた上限を22年の4・4%から徐々に引き下げ、30年にはゼロとすることを提案している。他にもノルウェーやベルギーで緩和の動きが見られる。

 脱炭素化に逆行するようにも見えるこの動きの背景には何があるのだろうか。

侵攻後に大きく価格上昇

 主に食用油として使われる「ひまわり油」の世界の輸出市場で、ウクライナは約5割を占めている(ロシアも含めると7割以上)。植物油全体でも、EUは輸入の2割程度がウクライナからだ。

 そして、ロシアによる黒海の封鎖後は、大規模な輸出が止まっている。植物油の価格は天候不順などを背景に20年ごろから上昇傾向にあったが、ロシアによる侵攻後、ピーク時には侵攻前に比べて3~5割程度上昇した(図1)。植物油のみならず、マヨネーズやポテトチップスなどそれらを用いる食品価格にも影響を及ぼしている。

 植物油の価格上昇について、バイオ燃料の使用拡大による影響についても無視できない。20年前は世界の植物油の用途のうち、バイオ燃料が占め…

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週刊エコノミスト

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