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G7の焦点はロシア産石油価格の上限設定と食料安保=高山武士
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G7首脳会議 ロシア追加制裁でも持久戦の様相
原油・石炭禁輸のEUは冬に正念場=高山武士
ドイツで6月26日からG7(主要7カ国)首脳会議が行われ、対露追加制裁、食糧安全保障、途上国へのインフラ投資計画などが議論された。
ロシア・ウクライナ戦争が長期化するなかで注目されるのは追加の対露制裁であるが、今回の会議ではロシア産の金輸入禁止やロシア産石油価格への上限設定などが検討されたようだ。
G7は、すでに経済・金融面において軍事侵攻直後からロシアに対して踏み込んだ措置を課してきた。これまでに、最恵国待遇の取り消し、重要物品や技術の輸出入制限といった貿易制裁、国際通貨基金(IMF)や世界銀行などからの融資の阻止、プーチン露大統領を含むエリート層の資産凍結といった金融制裁を行ってきた。また特定銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除、中央銀行の外貨準備も凍結した。
こうした制裁で、一時的に通貨ロシア・ルーブルは急落、国内では物価が急上昇した。しかし、ロシア側も資本規制を導入するなど防衛手段を講じ、ルーブルは反発、物価上昇圧力も軽減されている。
石油価格に上限
西側諸国の制裁は、経済・金融面からロシアの軍事力を低下させることを狙っている。実際、制裁や西側企業の撤退により、特にハイテク製品などの調達は難しくなっていると見られるが、ロシアも防衛手段を講じており、短期的な経済への影響を抑えている。
西側諸国とロシアの経済・金融面での攻防も持久戦の様相を呈している。石油の取引「価格」への上限設定は、エネルギー価格の上昇でロシアへの資金流入が制裁下でも増加してしまうことを防ぐ意図がある。世界的な高インフレの抑制に寄与する可能性があるが、具体的な制度設計は不明であるため、今後の検討内容が注目され…
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週刊エコノミスト
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