国際・政治 FOCUS
コロンビア2トップは元ゲリラと環境活動家=西濱徹
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コロンビア大統領選 反米左派ドミノが波及
対日EPA交渉に暗雲=西濵徹
6月に南米のコロンビアで行われた大統領選では、ゲリラ出身で左派連合が推す元ボゴタ市長のグスタボ・ペトロ氏が勝利し、伝統的に「保守派の牙城」(親米右派)と見なされてきた同国で、初の左派政権が誕生する。ここ数年中南米諸国で広がる反米の「左派ドミノ」の動きが同国にも及んだと捉えられる。なお、5月に実施された第1回投票においては、ペトロ氏が1位に付けるとともに、ポピュリズム的な政策を標ぼうする独立系のエルナンデス氏が2位となるなど主流派政党の退潮が鮮明になっていた。
この背景には、中南米諸国は社会経済格差が大きく、新型コロナウイルス禍による景気低迷に加え、足元ではウクライナ情勢の悪化で生活必需品を中心にインフレが加速するなど、国民生活に「ダブルパンチ」を与える影響が他の新興国、地域と比較して大きくなりやすいことが挙げられる。その結果、多くの国民が左派勢力の主張する「大きな政府」に基づく財政出動を公約に掲げる姿勢に引きつけられたと捉えられる。なお、ペトロ氏は年金の再分配などの年金改革、公立大学の無償化、国による失業者の直接雇用、富裕層への増税、国内産業の育成を目的とする自由貿易協定(FTA)の見直しといった政策を公約に掲げており、これまでの経済政策は一変する可能性が高まっている。
急進的な環境策も
さらに、同国は中南米でも有数の原油および天然ガスの生産国であるが、ペトロ氏はこれらの新規開発の停止を打ち出しているほか、副大統領には環境活動家のフランシア・マルケス氏が就任するなど、環境政策面で急進的な方向にかじを切る可能性がある。また、同国は地域内でも随一の「親米国」として知られてきたものの、ペトロ氏はベネズエラのマドゥロ…
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週刊エコノミスト
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