中印はロシア産石油・天然ガスの輸入を増やさない=和田肇(編集部)
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中国・インド
アジアの石油消費大国は、ロシア産石油・天然ガスに依存するつもりはない。
ロシアに“冷淡”な資源輸入国中東産油国との関係を維持=和田肇
西側諸国がロシアに対して石油や天然ガスの禁輸制裁をしても、中国やインドがロシア産石油・天然ガスを輸入拡大すれば、制裁の効果は限定的との見方がある。
果たして中国やインドは、制裁の効果が帳消しになるほど輸入を拡大するのか。これについては、中国やインドがそれほど輸入を拡大するとは思えないと否定的な見方もある。
天然ガスに関して、ロシアがクリミアを併合(2014年3月)した年の5月に、ロシア(ガスプロム)と中国CNPC(中国石油天然気集団公司)が、シベリアからの天然ガスパイプライン「シベリアの力」の長期売買契約で合意したが、この交渉は7年もの長期間続き、中国側はなかなか承諾しなかった。「シベリアの力」の契約では、中国が同国にとって最も安い価格で購入することで決着した模様だ。
ロシアよりサウジ
ロシアはさらに、ロシア東西を横断する天然ガスパイプライン計画「シベリアの力2」で、中国に長期購入を迫っているが、中国は態度を保留し続けている。今年2月の冬季北京オリンピックで、プーチン大統領と習近平国家主席が会談したが、この会談でも「シベリアの力2」の合意はなかった。
図は、EUがロシア産天然ガスを全面禁輸した場合の中国とインドへの輸出振り向け量を推計したものだが、EUは4月にLNG(液化天然ガス)設備の対露輸出禁止措置を講じているため、ロシアはLNG施設の建設が困難な状態だ。現在のところ、パイプラインで中国に350億立方メートル程度しか輸出できない。「シベリアの力2」やその他新規パイプライン計画が実現したとしても、それらは600億立方メートル程度が限度だ。
石油はどうだろうか。現在、中国とインドはロシア産原油スポットで大幅に輸入拡大している。
中国…
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週刊エコノミスト
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