経済・企業

カリフォルニアでEVシフトが加速する分かりやすい理由=土方細秩子

ゼネラル・モーターズ(GM)は「シボレーボルト」を6000ドルも値下げした(4月のニューヨーク国際自動車ショー) Bloomberg
ゼネラル・モーターズ(GM)は「シボレーボルト」を6000ドルも値下げした(4月のニューヨーク国際自動車ショー) Bloomberg

米EV市場

 ガソリン価格の異常な高騰を受け、全米最大の経済を誇るカリフォルニア州でEV(電気自動車)の普及が加速している。

GMはテスラキラーを大幅値下げ、フォードも新工場=土方細秩子

 米国で電気自動車(EV)メーカー、テスラの売り上げが好調だ。全米の自動車販売台数の約1割を占めるカリフォルニア州では、今年1~3月期の新車販売でトップがテスラ「モデルY」(2万1812台)、2位が「モデル3」(2万1506台)となった。テスラ車の販売台数は前年同期比で83.7%増加し、同州内での全販売台数の11.3%を占めている。

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 さらに、テスラ車を含め、充電機能が付いたプラグインカー(バッテリーEV〈BEV〉とプラグインハイブリッド車〈PHV〉、燃料電池車〈FCV〉を含む)全体の販売台数も前年同期比37%増となり、販売全体の17.2%を占める。これは全米で最もEV化が進むカリフォルニア州の数字ではあるが、テスラ車は米国全体でも1~3月期に3.3%のシェアとなった。

 背景にあるのが、ロシアのウクライナ侵攻の影響も受けた、異常なほどのガソリン高だ。米国のガソリン小売価格は今年6月、史上初めて1ガロン(約3.78リットル)当たり5ドルを超えた。全米一ガソリンが高いカリフォルニア州では1ガロン当たり6~7ドル台で、これがEVシフトに拍車をかけている。

 また、バイデン政権は今年6月、EVチャージステーション(充電施設)についての青写真を発表し、「50マイル(約80キロ)ごとにステーションを建設し全米を網羅する」という。すでに、テスラは独自の施設で全米横断が可能な数を確保しており、EVの持つ不便さはどんどん解消されている。

 この好機に向けて、さまざまなメーカーがEVの生産販売に重点を置き始めた。まず目を引いたのが、ゼネラル・モーターズ(GM)による大胆な値下げ作戦だ。GMは6月から、EV「シボレーボルト」の価格をおよそ6000ドル下げ、2万6595ドル(約360万円)からとすることを発表した。これは、日産自動車のEV「リーフ」の2万7400ドルを下回り、EVとしては最安値となる。

 シボレーボルトはもともと2016年、「テスラキラー」として発表された。当時テスラが発売を予告していた廉価版の「モデル3」よりも安い価格設定で真っ向勝負を挑んだが、これまでの累計販売は14万台と、モデル3の150万台に比べてかなりの差をつけられている。

 材料不足やインフレなどにより、米国の新車価格は前年比で12%以上値上がりしている。テスラモデル3の価格も現在4万6990ドルからと、準高級車の価格帯だ。GMはライバルよりも2万ドルも安い価格で売り出し、シボレーボルトや新しく出された「ボルトEUV」(SUV〈スポーツタイプ多目的車〉タイプの上級モデル)の販売にはずみをつけるのが狙いなのだ。

キャデラックは…

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