経済・企業

半導体製造装置は韓国・台湾・中国より優位に=若林秀樹

米受託製造事業者グローバル・ファウンドリーズの半導体工場。日本の製造装置も多数稼動している(2021年3月、ニューヨーク州) Bloomberg
米受託製造事業者グローバル・ファウンドリーズの半導体工場。日本の製造装置も多数稼動している(2021年3月、ニューヨーク州) Bloomberg

半導体製造装置

 強みは、各工程が繰り返し行われるため、隣接する工程間の相互依存性が高く、各工程用装置のトップメーカー同士で連携が行われやすいことだ。

前・後工程で裾野広い日本勢=若林秀樹

 世界の半導体製造装置業界は、今なお日米欧の企業が中心であり、韓国・台湾・中国勢の台頭が著しいデバイス業界と異なる。製造装置は、前工程と後工程に分かれ、市場競争も様相が違っている。

 前工程では、多くの工程の装置で高いシェアを持つ米アプライドマテリアルズ(AMAT)と東京エレクトロン(TEL)の2強と、個々の工程に強い企業群で市場を形成している。後者は、米ラムリサーチ(LAM、エッチング)、米KLAテンコール(検査)、SCREENホールディングス(洗浄)、アルバック(成膜)、KOKUSAI ELECTRIC(旧日立国際電気から分離、拡散)、日新電機(イオン注入)、オランダASML(露光)などが該当する。

 後工程は個々の工程ですみ分けされており、ディスコ(切り・削り・磨き)、アドバンテスト(試験)などがある。

 売り上げ規模は1兆円を超えるAMAT、TEL、ASML、LAMがあり、その下に壁があり5000億円以下に各工程に特化した日本企業がひしめき、合従連衡が進んでいるが、後工程は巨大企業がいない(図)。

工程間の連携が強み

 日本企業が競争力を維持している理由は、特に前工程では各工程が繰り返し行われるため、隣接する工程間の相互依存性が高く、各工程用装置のトップメーカー同士で連携が行われやすいことが挙げられる。そのことがエコシステム形成につながる。日本企業が強みを発揮しやすい領域なのだ。

 TELの常石哲男前会長は、「ナンバーワンの会社同士の連携、開発する技術の中には多くの装置で使える共通技術や要素技術がある」とメディア上で発言している。

 日本の製造装置と材料の業界団体であるSEMIジャパンの浜島雅彦代表は、「サプライチェーンが川上の部品やサブシステム(より小さなシステム)のサプライヤーへと続いており、ここでも日本企業は大きなシェアを握っている」と指摘する。具体的には、荏原が高いシェアを持つドライ真空ポンプ(真空を作る装置)、堀場製作所が手掛けるマスフローコントローラー(ガスの流量制御機器)、CKDのバルブなど挙げられよう。

韓台中に対し優位性

 長年にわたり世界中に構築してきた保守・点検のサービス体制も重要な役割を果たしている。また、製造装置に重要な、物性、化学反応、メカトロニクスといった技術要素は、韓国・台湾・中国企業よりも、日米が依然として優位であり、装置の部品も先進国からの調達が多い。日本は電子だけでなく、機械、光学、化学、材料など幅広い分野で能力の高い人材を抱えており、欧米も基礎科学に人材が厚い。これが装置産業の強みとなっている。

 配線工程が多いロジック半導体では、工程を共通化するプラットフォーム化が進み、近年は台湾積体電路製造(TSMC)が主導するロードマップ上で開発が進んでいる。前工程の中で特殊な存在は、装置の大きさや価格、要素技術も異なる露光機で、ここはASMLが君臨している。

 後工程は、工程の繰り返しは1回程度であり、切断、テスト、組み立てと分かれ各工程ともプラットフォーム化されず、ニッチ市場で高シェアとなっている日本メーカーが強い。先述したディスコやアドバンテストのほかに、東京精密(切断)、芝浦メカトロニクス(実装)、TOWA(封止)、イノテック(試験)。その他ではダイフク(搬送)、日本電子(マスク描画)、ブイ・テクノロジー(検査など)などがある。

中国とどう付き…

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