経済・企業

半導体からミカンまでの搬送システムを納入できる世界唯一の企業=下代博・ダイフク社長

搬送システムで世界首位 工場・倉庫のプロ集団

 自動車・半導体工場、ネット通販までいまやダイフクの搬送システムなしには動かない。強さの源泉をトップに聞いた。

(聞き手=浜田健太郎/村田晋一郎・編集部)

── 倉庫や工場で物を動かすシステム全般を指す「マテリアルハンドリング」(マテハン)で売上高世界トップ。自動車工場の生産ライン用が発展の基礎だったと聞く。

■1937年の設立当初は、製鉄の加工に使う鍛圧機や、港に接岸した貨物船から荷揚げして運ぶ装置の製造・販売から出発した。その後、自動車工場向けをやらないかと誘いがあり、59年にトヨタ自動車の元町工場(愛知県豊田市)に当社の生産ライン向けシステムを納入した。車体をチェーンコンベヤーで送りながらドアの取り付けやエンジンの設置などの工程を経て自動車を完成させる搬送システムだ。現在はグループ企業になっている米国のウェブ社から技術を導入した。トヨタ以外にも日産自動車、ホンダなど日本の各自動車メーカーにも納めるようになった。その後、自動車各社と一緒に海外進出して当社の発展期を築いた。

── 今では一般の工場や流通業向け、半導体工場用、ネット通販業者向けなど幅広い用途でダイフクのマテハンが導入されている。どのように導入対象を広げていったのか。

■自動車向けの次に手掛けたのが自動倉庫だ。それ以前はフォークリフトで棚に物を入れていた。その後は棚と棚の間を自動走行のクレーンに人が乗って、製品の搬入・搬出を行っていた。その作業を自動化した装置が欧州にあって、その技術を当社が日本に導入して進化させ、松下電器産業(現パナソニック)や旭化成などに納入した。AGV(無人搬送車)を日本で最初に製造したのも当社。自動倉庫やAGVなどを電機、機械、食品、医薬など保管と搬送を要する業界向けに納めてきた。

── 半導体工場のクリーンルームには、天井近くのレールにつるされた搬送用…

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