経済・企業

インフレでも金価格は下落 「実質金利」と強い逆相関=長内智

 「有事の金」ともいわれるが、このところの価格はむしろ軟調だ。

ウクライナ危機と高インフレへの懸念から、底入れ時期を探る展開に=長内智

 世界的なインフレ進行が長期化する中、金(ゴールド)の国際価格は今年に入ってから大きく上下に揺れ動き、投資家にとって厳しい相場環境となっている。

 国際指標であるニューヨーク(NY)金先物価格は、今年2月に騰勢が強まった後、3月上旬には1トロイオンス=2000㌦(終値ベース)を超え、2020年8月6日に記録した史上最高値の2069.4㌦に迫った。さらに、エネルギーや穀物などの国際商品価格の急騰に伴い、今後インフレ率がさらに高まるとの見方などを背景に、NY金先物価格は史上最高値を更新するという強気の見通しも増えつつあった。ただ結果として、インフレは加速した一方、NY金先物価格は3月上旬をピークに下落基調へと反転したのである。

 大阪取引所で売買されている円建ての金先物価格は、外国為替市場で円安・ドル高が急速に進んだ影響により、4月中旬まで上昇傾向が続いたものの、その後はNY金先物価格の下落による下押し圧力が強まり、レンジ相場へと移行した。

 世界各国では、依然として高インフレが深刻な懸念材料となっている。なぜインフレに強い資産とされる金の国際価格は上昇せず、下落基調が続いてきたのだろうか。その謎を読み解くには、NY金先物価格に影響を及ぼす変動要因の動向を確認することが重要だ。

 まず、今回のNY金先物価格の急騰は、世界情勢の急激な悪化やインフレの高進という投資リスクを回避するための投資行動が活発化し、それが主な上昇要因となった。具体的には、ロシアのウクライナ軍事侵攻という突発的な有事の発生と、それに起因する世界的なインフレ加速を受けて、安全資産として金を購入する「有事の金買い」や「インフレヘッジ(回避)」を目的とした投資マネーが金先物市場に短期的に流入し…

残り810文字(全文1610文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で過去8号分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

8月23日号(8月16日発売)

電力危機に勝つ企業12 原発、自由化、再エネの死角 オイルショックを思い出せ ■荒木 涼子/和田 肇15 電力逼迫を乗り越える 脱炭素化が促す経済成長 ■編集部16 風力 陸上は建て替え増える 洋上は落札基準を修正 ■土守 豪18 太陽光 注目のPPAモデル 再エネは新ビジネス時代へ ■本橋 恵一2 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事