ドル指数の高値更新と原油の値上がりに相関関係=野地慎
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今回のドル高局面は原油価格の上昇を伴っている点も重要で、原油輸入国の景気も減速させている。
対ドル下落率が高いのは非資源国の通貨=野地慎
欧州中央銀行(ECB)がインフレ抑制のために利上げにかじを切る中、ユーロ圏経済が減速しかねないとの思惑から、ユーロ・ドル相場が1ユーロ=1ドルを超えてユーロ安・ドル高が進み、20年ぶりの等価(パリティ)割れとなっている。これを受け、インターコンチネンタル取引所(ICE)が算出するドルの総合的な価値を示す「ドル指数」も2002年10月以来の20年ぶりの高値を記録。足元ではドル高が最大の関心事となりつつある。
円安については日銀の金融緩和政策継続がその要因とされてきたが、欧州各国、オセアニアの中央銀行が利上げを行う中でも各国通貨の対ドル下落が続いている。ECBも積極的な利上げ姿勢を示しているが、それでもユーロ・ドルの下落が止まらないのは、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策正常化に伴うドル高圧力が強過ぎるためであろう。
新型コロナウイルス禍で、FRBは量的緩和と長期金利上昇抑制政策を推し進めたが、足元ではその超金融緩和政策を急速に巻き戻している。それに伴うドル高圧力は強烈で、すでに利上げを始めたスウェーデン・クローナの対ドル下落率(21年末対比)が円の対ドル下落率とさほど変わらない点からも、ドル高圧力が強いことがよく分かる。
原油価格上昇も同時並行
ただ、ドル指数が20年ぶりの高値を更新しているのは、FRBによる金融政策正常化のためだけではなさそうだ。重要なのは対ドル下落率が特に高い国の顔ぶれであり、具体的には資源を持たない、特に石油製品自給率がゼロに近い国々で占められている点である。米長期金利がピークアウトしつつある中で円安が止まらないことから、日本でも貿易赤字拡大に伴う円安圧力に注目が集まってきたが、ユーロ圏でも同様に貿易収支の赤字化や…
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週刊エコノミスト
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