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経済・企業 電力危機に勝つ企業

再エネからサブスク、養殖まで 多角化目指す都市ガス各社=吉田愛

茨城県鹿島港洋上風力発電所の完成イメージ 東京ガスのプレスリリース
茨城県鹿島港洋上風力発電所の完成イメージ 東京ガスのプレスリリース

 地域や顧客密着をキーワードに、都市ガス会社の本領を発揮する時代の到来だ。

大手は総合エネルギー志向 中堅は新サービスで地域密着

 2017年に始まった都市ガスの小売り全面自由化や政府の2050年カーボンニュートラル宣言を受けて、都市ガス業界は時代の流れに適合した新たな収益源の確立が最重要課題となっている。

 特に東京ガスと大阪ガスの大手2社は、電力会社と同様に総合エネルギー企業を志向しており、再生可能エネルギー(再エネ)の開発や電気自動車(EV)関連サービスを推進している。また、大手・中堅の都市ガス会社を中心に、地元自治体の課題解決につながる地域密着の新サービスを立ち上げる動きが活発化している。

東京、大阪ガスの取り組み

 東京ガスと大阪ガスは、顧客の再エネ電気へのニーズなど、カーボンニュートラルの取り組みを支援している。住宅や企業を対象にした太陽光発電のPPA(電力供給契約)やEV関連サービスを展開。今後は、これら分散型エネルギーリソースを束ねたVPP(仮想発電所)の商用化も目指している。

 東京ガスは21年度から、横浜市の市立小中学校65校に太陽光発電と蓄電池をPPAで順次導入している。再エネ電気を校内で自家消費して余剰電力を同市内の公共施設に送る仕組みで、電力の地産地消と環境教育を支援する考えだ。昨年11月からは、集合住宅を対象にしたEV充電設備設置サービスも始めた。既築・新築マンションなどを対象に、スマートフォンのアプリと二次元コードを使用して、充電量を車両ごとに管理するというもの。

 大阪ガスは昨年10月、工作機器や家庭用機器などを扱う「山善」(大阪市)と太陽光PPAの共同ブランドを立ち上げた。山善の取引先を中心に、太陽光パネルを設置する。24年度末までに全国約200カ所、10万キロワットを目標にする。

 EV関連では、大阪ガスが保有する実験集合住宅「NEXT21」で、EVを用いたエネルギーマネジメントを行う。電気料金の削減や非常用電源の活用、カーシェアリングといったマルチユースサービスの開発に向けた実証を今年2月から開始した。将来は官公庁や企業の社有車などで事業化を目指す。

 両社は再エネ拡大の切り札と目される洋上風力発電の開発にも乗り出している。東京ガスは、茨城県鹿島港で着床式洋上風力発電を計画しており、30年までの運転開始を予定。港湾内に風車19基、発電容量約16万キロワットの設備を計画する。

 大阪ガスは、国が公募した長崎県五島市沖の浮体式洋上風力発電事業に、戸田建設や中部電力などとコンソーシアムを組んで応募した。21年6月に選定されており、ガス事業者として初めて一般海域における洋上風力発電に携わる。

サブスクで飲食店支援

 大手2社以外のガス会社では、地域の課題解決につながる新規事業立ち上げが加速している。地方は人口減少が深刻なエリアも多く、地域活性化はガス会…

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