風力発電 風車の更新時期が新たな商機に=土守豪
有料記事
風力発電は陸上、洋上ともに新たな動きが矢継ぎ早に出てきている。
洋上風力事業は落札基準に修正案
2050年カーボンニュートラル(炭素中立)実現に向けて、風力発電は陸上、洋上ともに新たな動きが出ている。日本風力発電協会によると、21年末の日本の風力発電累積導入量は、458万1000キロワット。21年単年では風車23基・計14万3100キロワットが導入された。22年は50万キロワット以上の風力発電が運転開始する見込みだという。
一方で、21年に老朽化や設備更新に伴い撤去された風車は、64基で計6万8200キロワットに上った。風車の耐久年数は約20年が目安なので、気候変動問題が初めて話題となった1997年の地球温暖化防止京都会議(COP3)以降、環境問題への急速な関心の高まりで、太陽光・風力発電設備の建設が活発化した00年代初期の設備が、現在、更新の時期に差し掛かっている。
風力発電事業最大手のユーラスエナジーホールディングス(HD)は、北海道遠別町、浜頓別町、天塩町の風力発電設備の更新に取り組んでいるが、この3カ所は運転開始から約20年が経過しており、高経年化が進んだため、21年2~9月にかけて順次営業運転を終了し、より大型の単機で4300キロワットの能力を持つシーメンス・ガメサ・リニューアブルエナジー社製の風車に建て替える。いずれも23年2月に運転を再開し、発電した電力は北海道電力に全量売電する予定だ。ユーラスエナジーHDの株主構成は、12年1月以降、豊田通商60%、東京電力40%だったが、22年5月に豊田通商が完全子会社化を決め、株式取得を進めている。
日立製作所子会社の日立パワーソリューションズは、こうした国内の風車の撤去・設備更新の動きを商機ととらえて、陸上風車の解体工事の効率化に力を入れている。同社は96年に風力発電の設備事業に乗り出して以来、22年3月末時点で全国で465基の風車の設置経験があり、稼働率保証を含めた長期包括保守契約による保守サービスを手がけてきた。
同社は22年7月20日、国内陸上風車の解体工事分野で、プラント解体企業のベステラ社(東京・江東区)と、同社が持つ発電用風車設備の解体に関する特許技術(転倒工法)の実施許諾契約を締結した。従来の解体工法で必要だった大型クレーン関連の費用を削減できる工法だ。
今後の日本の再生可能エネルギーの主力と目さ…
残り993文字(全文1993文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める