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今冬の都市ガス不足 戦後最大のヤマ場に=和田肇
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電力需給の逼迫(ひっぱく)を背景に節電状況に応じて値引きなどに使えるポイントが付与される「節電ポイント」制度が実施されているが、今冬に不足が懸念される都市ガスでもポイント制度の導入が具体化しそうだ。
資源エネルギー庁の審議会は8月5日、都市ガス不足が起きた場合の対策を議論したが、その中で日本ガス協会は、都市ガス版「節ガスポイント」制度の導入を提案した。前年同月比の節ガス量に応じて、ポイントを付与したり、料金単価を引き下げるといったインセンティブを設ける。
日本ガス協会は「(節ガスポイントは)まだ導入が決まっているわけではなく、冬に向けて議論していく」(広報部)としており、政府による支援も必要と主張している。具体的な仕組みや対象者は、各都市ガス会社が検討する見通しだ。
同協会によると、2019年度の都市ガス供給先は、全体の29.3%が家庭向けで、残りは産業界、教育機関、病院・福祉施設、宿泊・飲食業などだ。資源エネルギー庁とガス業界では、ガス使用制限令の創設も検討中だ。電力は電気事業法で電力使用制限令の発動が規定されているが、ガス事業法にはそうした規定がなく、ガス事業法の改正作業も必要となる。
都市ガスはタンクに貯蔵できるので、その部分である程度の需給調整が可能となる。一方、電力が1日のうち需要が増える時間帯(需要ピーク時)ごとに節電できるのに対し、ガスは供給が不足する一定期間(数週間から数カ月間)、節約をしなければならない。
また、審議会では、都市ガス会社によるガス需給逼迫情報の公表や節ガス方法の情報提供を行うことも議論された。
サハリン2次第
都市ガスはロシアと日本による石油と天然ガスの開発プロジェクト「サハリン2」の状況が流動的なため、今の時点では需給逼迫が発生するか予測は…
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週刊エコノミスト
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