成長銘柄もいいけれど、成熟産業の“脇役”型銘柄にも目配りを=篠田尚子
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一般的に金利の上昇局面では成長株は調整幅が大きくなりやすい。成長銘柄が市場をけん引してきた米国株でも、安定配当が見込める通信や公益など成熟産業にも目を配りたい。
投資信託&ETF 高配当株に「利上げ耐性」
2000年代後半以降、十数年にわたり米国株式市場をけん引してきたグロース(成長)株相場が転換点を迎えている。長い目で見れば、米国経済の成長を背景に、ハイテク株を含む米国のグロース株に投資妙味があることは間違いないだろう。しかし、足元では、FRB(米連邦準備制度理事会)による利上げという金融政策そのものの方向転換がすでに始まっている。
株価は理論上、将来得られる1株当たりキャッシュフローを期待収益率で割り引いて算出する。金利が上がれば、将来のキャッシュフロー予想が多いグロース株ほど、株価の調整幅は大きくなる。過去に同様の利上げが行われた時(04〜06年ごろ)を振り返ってもやはり、グロース株が上昇一辺倒とはいかない時期があった。
こうした相場の転換点では、グロース相場ではあまり目立たなかった、バイプレーヤー(脇役)型の資産が耐性を発揮する。一般的には、高配当・高利回り株や、代替資産(オルタナティブ)である金(ゴールド)などが該当する。主役級の成長株が華々しく上昇を続けている局面では、脇役的な高配当株や代替資産はリターンが劣後してしまうが、足元のような不透明感が漂う環境下では「縁の下の力持ち」として活躍する。
目立つ存在ではないからこそ、こうしたタイミングでバイプレーヤー型資産の特性について理解を深め、資産分散の観点から、必要に応じて組み入れることをおすすめする。
相対的に高い配当を支払う高配当株は一般的に、通信や公益といった成熟産業に多くみられる。成長株のように企業の急成長による大きな株価の上昇は見込みにくい半面、安定した配当を受け取れるという安心感がある。
「配当貴族」指数に連動
米国株のS&P500やナスダック100に代表される、近年人気のインデックス(指数)連動型ファンドは総じて成長株の構成比が高い。もしインデックス連動型でそろえたいなら、「楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド」のほか、海外ETF(上場投資信託)の「バンガード・米国増配株式ETF(VIG)」、「SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF(SPYD)」など、高配当銘柄の値動きに連動する…
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