いま仕込み時の長期保有向き米国銘柄1 ボーイング=岡元兵八郎
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長期保有に向く米国株の中でも“今が仕込み時”の注目銘柄を二つピックアップする。一つ目はコロナ禍で低迷しつつも、脱炭素で機体更新需要が確実な航空機業界のボーイングだ。
事故の影響から回復鮮明 世界人口増で旅客需要拡大
米航空機製造大手のボーイングは、人口増加による世界的な旅客需要拡大の恩恵を得ることが可能で、長期投資の観点から有望な銘柄だ。
株価は2019年から調整局面に入っている。理由は二つある。一つ目は、民間用の主力航空機「737MAX」が18年にインドネシア、19年にエチオピアで相次いで墜落し、米連邦航空局(FAA)が運航停止を命令し、生産がストップしたことだ。二つ目は20年からの新型コロナウイルスの世界的な感染拡大だ。航空会社は競争力を高めるため、定期的に機材を更新する必要があるが、世界的に旅行需要がほぼゼロとなり、注文も止まった。
この二つの出来事で、ボーイングは19年12月期から最終赤字に転落し、20年12月期から無配となった。業績悪化を嫌気して、19年3月から今年6月までのボーイングの株価の騰落率はマイナス62%を記録。市場平均であるS&P500株価指数のマイナス40%を大きく下回っている。
しかし、株価は悪いニュースをかなり織り込んでいる。FAAの運航停止命令はすでに20年11月に解除された。今年7月に開催された英ファンボロー国際航空ショーでは、ボーイングは176機の受注が確定したと発表しており、この中には日本のANAホールディングス(HD)が注文した30機の737MAXも含まれる。受注数はライバルの欧州エアバスの85機を上回っており、回復を印象付けた。
中長期的に見ると、航空機市場は有望だ。ボーイングによると、22年から41年にかけ、世界で新たに4万1170機の航空機が必要とされる。金額にして7.2兆ドル(約980兆円)だ。世界人口は22年の80億人…
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週刊エコノミスト
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