欧州 ドイツが充電ポイント100万基設置宣言 VWも英BPと共同で 高塚一
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EV(電気自動車)の普及が急激に拡大する中国、米国、欧州では充電インフラの整備も急ピッチで進む。新車販売の2割強が次世代車(EVとPHV)の欧州では、独ショルツ政権が「2030年までに公共充電ポイントを100万基設置」との目標を掲げている。»»特集「充電インフラ最前線」はこちら
次世代車の伸びに充電施設が追い付いていない
欧州における次世代自動車の販売が引き続き好調だ。欧州自動車工業会(ACEA)によると、2022年上期(1~6月)の電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の新車販売台数は109万1231台だった。新車販売台数全体が前年同期比14.5%減少した中、7.9%増となった。特にEVが健闘し、30.3%増の62万9747台だった。新車販売台数全体に占めるEVとPHVを合わせた次世代自動車の割合は21.7%で、21年全体(20.9%)とほぼ同じ割合となった。
ドイツは、欧州の次世代自動車の約3割を占める最大市場だ。22年上期は、PHVが前年同期比15.1%減だったのに対し、EVは12.5%増の16万7503台だった。新車販売台数全体に占める割合はEV14.4%、PHV11.7%で、ドイツで販売された新車の4台に1台が次世代自動車ということになる。
21年12月に発足したドイツのショルツ政権は、30年までに最低1500万台のEV導入を目標に掲げる。ドイツ連邦自動車局(KBA)によると、22年1月時点で登録されたEVは61万8460台。ショルツ政権の目標は、9年間で1400万台以上のEVを新たに市場に導入するという野心的なものだ。
次世代自動車の導入を進めるには、充電インフラの拡充が必要になる。ユーザーにとって、日々の充電が不便なくできるか、遠出する際に急速充電できるかなどが、購入に際して重要な要素になるからだ。このため、ショルツ政権は充電インフラについても、「30年までに公共充電ポイントを100万基設置し、特に急速充電に重点を置く」との目標を掲げている。
「マスタープラン」を改定
欧州、ドイツでの充電インフラ整備はどこまで進んでいるのだろうか。ACEAによると、欧州連合(EU)加盟主要国の充電ポイント数(21年)は表(拡大はこちら)の通りとなっている。全体で30万6864基で、うちオランダが29.4%、ドイツが19.4%を占める。急速充電器の割合は13.6%だった。ドイツ連邦ネットワーク庁によると、直近では22年7月1日時点で稼働しているドイツ国内の公共充電ポイントは6万3570基で、急速充電器の割合は15.6%だった。
ドイツ自動車産業連合会(VDA)は、次世代自動車のさらなる普及に向けて、充電インフラの整備が大きく遅れていると指摘する。今年6月のVDA発表によると、過去1年間の充電ポイント設置数は週平均約330基で、計算上30年には約21万基にしかならない。政権の目標である100万基を達成するには、毎週約2000基を新設する必要があるという。
図は17年時点のドイツ国内の次世代自動車登録台数、充電ポイント設置数を100とし、その後の推…
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週刊エコノミスト
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