国際・政治 暴走する中国
中国不動産バブルの崩壊はしのげても、まだまだ残る過剰投資のツケ=関辰一
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日本のバブル崩壊の教訓を生かせるか──。中国が不動産不況をどう乗り越えるかが、大きな問題として浮上している。1990年代初に始まった日本の不動産バブル崩壊を反面教師に、中国政府は規制の強弱や金融機関を通じた支援に動くが、経済のけん引役だった不動産への過剰な投資の調整は、時間と一定の痛みを伴うものになりそうだ。
中国では、不動産市場の不振が続いている。需要は縮小しており、不動産価格も下落。住宅を中心とした不動産の売れ行きは、家電はじめ耐久財の購入や、不動産会社の投資、地方政府の土地使用権譲渡収入など幅広い分野に影響するため、不動産市場の停滞は景気全体の大きな下押しとなっている。
対GDP(国内総生産)で40%を超える不動産向け融資は持続不可能だ(図)。まさにその調整に入ったところ、中国恒大集団のような過剰債務の問題が噴出した。行き過ぎた不動産向け融資や、高騰を続ける不動産価格に歯止めをかけようと、中国政府が不動産向け融資の規制強化をした結果、2021年夏以降、一部の不動産会社の資金繰り問題が表面化するようになった。恒大集団がその一つだ。総額2兆元(約40兆円)という巨額の負債を抱えていた。昨年12月には米ドル建て社債の利払いを期日通りに支払えず、事実上のデフォルト(債務不履行)を引き起こした。7月中に経営再建に向けた債務の再編案を公表するとしていたが、月末に22年内に発表すると先送りした。
ローン返済拒否運動
中国では7月以降、物件の引き渡しが遅れていることに抗議して、マンション購入者が住宅ローンの返済を拒否する動きが広まっている。日本と違い、中国では購入契約を結び頭金を支払った段階からローンの返済が始まる。騒動の発端は恒大集団が中国南部江西省で手がけていた物件だった。同じように物件の工期が遅れているマンションの購入者が、ローン返済を拒否する運動が拡大した。
今後、不動産市場…
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週刊エコノミスト
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